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2−19 フランシスカ様との会話

 20分後―


「あ、あの…着替えてきました」


ベンチに座っているフランシスカ様に背後から声を掛けた。今私が着てきたのは安物の麻布で出来たワンピースである。それでも自分の持っている私服の中では比較的まともな服だったのだけど…上質なシルクで作られたワンピースドレスを着ているフランシスカ様とは雲泥の差だ。


「…」


フランシスカ様は無言で私を上から下までジロジロ見ながら、自分の右側の空いてる場所をポンポンと叩きながら言った。


「座って?」


フランシスカ様の隣に座る…。だけど彼女は上位貴族、そして私はただの平民。しかも貧しい平民なのだ。


「いえ、一緒に座るわけには参りません」


「何故?私の隣に座るのが嫌なの?」


フランシスカ様の眉が少し険しくなる。


「いえ、嫌とか…そういうわけでは無いのです。私と一緒にいるところを他の誰かに見られでもしたらフランシスカ様の評判が下がってしまうからです」


「私の評判が下がる…?」


「はい、フランシスカ様は侯爵令嬢です。けれど私は平民。しかもご覧の通り、とても貧しい平民なんです。この学園にはある方の援助で入学してきたのですが、本来であればとても通えるような身分ではないのです。私のような人間と一緒に話をしている姿を他の人達に見られたりしたら…フランシスカ様がどんな目で見られるか…」


「…」


一瞬、フランシスカ様の目に同情の色が浮かんだように見えた。


「でも、だとしたら貴女と話が出来ないわ」


「それは…」


私は辺りを見渡し、ベンチのすぐ後ろの植え込みに目が行った。


「あの、この植え込みの後ろでしゃがめば多分私の姿が隠れると思うんです」


そして植え込みに周り、しゃがむとフランシスカ様に声を掛けた。


「どうですか?私の姿見えますか?」


「いいえ、見えないけど…でもそんな場所で…」


フランシスカ様がためらいがちに言う。


「いいんです、私の事はどうか気にされないで下さい。それで?どんなお話をしましょうか?あ、フランシスカ様はそのまま正面を向いてお話くださいね?決して私の方は見ないようにお願いします」


「え、ええ…分かったわ」


そしてフランシスカ様は正面を向き直ると言った。


「ねぇ、ロザリー。何故貴女は男の子の姿をしていたの?」


「それは…」


まさかレナート様と一緒にフランシスカ様の誕生プレゼントを一緒に買いに行く為だとは言えなかった。そこで、もう一つの理由を述べる事にした。


「はい、アルバイトを探していたからです」


「アルバイト?」


フランシスカ様は首を傾げる姿が後ろから見えた。


「はい、女の子の格好だと…中々アルバイトに雇って貰えないんです。圧倒的に採用してもらえるのは男の子ばかりで…なので男の子の格好をしていたのです」


「え?それじゃ…もし仮に男の子の姿で雇ってもらえたら、ずっとその姿で働くつもりだったの?女の子である事を隠して?」


フランシスカ様は驚いたように言う。確かに彼女にとっては信じられないことかもしれないけれど、これが村で暮らしていた時の私の日常だった。


「ええ、そうです。もっとも途中でバレたらそれまでですけど。でも死活問題ですから、出来るだけバレないように注意しています」


「そうだったの…色々、苦労しているのね。貴女…そこへいくと、私は恵まれているのね。貴女の抱えているものに比べれば、私の悩みなんて贅沢な…取らない悩みよね」


フランシスカ様はどこか寂しげに言った―。


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