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12-4 助けてくれる人

 ルペルト様に連れて来られたのは近くにあった喫茶店だった。


窓際のボックス席に座るとルペルト様はテーブルに立てられていたメニュー表を差し出してきた。


「ロザリー、この喫茶店は食事も出来るみたいだよ?ご馳走してあげるから好きなのを頼むといいよ」


「でも…それではご迷惑では…」


「そんなことないって。それに男性が女性にご馳走するのは普通のことだよ?だから何も遠慮すること無いよ」


「…ありがとうございます…」


そこで私はホワイトソースのパスタとサラダ、紅茶のセットを注文した。

ルペルト様はトマとソースパスタセットで飲み物はコーヒーをウェイトレスさんに注文すると、早速私に話しかけてきた。


「それで?そろそろ…何が会ったか話してもらえるかな?」


「は、はい…」


先程は、ただ泣きじゃくるだけで何があったのか全く説明が出来なかったのだ。


「実は…弟が…アルバイト先に来たんです…」


「弟?」


「はい、でも弟と言っても…血の繋がりは無いのですけれど…あの、少し私の家庭はややこしいところがあって…」


「そうなんだね?それで弟が来てどうしたの?」


ルペルト様が私の家庭の事情について尋ねてこないことに感謝しながら話を続けた。


「私…弟から逃げているんです。弟は…姉である私のことを好きだと言うので…」


「え…?」


そこで初めてルペルト様が眉を潜めた。


「冬季休暇で実家に帰った時に、その事実を知ったのです。父は弟が私に恋心を抱いているのを知っていて…もう二度と実家には戻ってこないように言われました。私自身…絶対に弟を受け入れることが出来なくて…。それ以前に男の人としてみることが出来ません。なのに…ダミアンは…」


「弟さんはダミアンと言う名前なんだね?」


「はい、ダミアンは私のことをずっと前から好きだったそうです。それどころか私を連れてどこかに逃げるつもりだったみたいです。それで私怖くなって、父の勧めもあったのですぐに実家を出て、学園に戻ってきたのです。その時、まだ帰省せずに残っていたイアソン王子にお会いして…一緒に『ヘンデル』へ行きました」


「そうか…それであの国にいたんだね?」


「はい、そうです…。その後はもうダミアンのことは忘れていたのに…さっき、突然アルバイト先に現れたのです。何とか帰ってもらったのですけど、17時にまた来る言い残して…。私…怖くて…震えていたら店長さんが具合が悪そうだから帰っていいと言われて帰ってきましたけど、17時には弟が再び花屋さんにやってきます…」


それを考えると再び身体が震えてくる。


「可哀想に…ロザリー。分かったよ、僕が君を助けてあげる。だからそんなに怖がらなくてもいいよ?」


ルペルト様が優しい笑みを浮かべながら私を見た。


「ど、どうするつもり…ですか…?」


「う〜ん…ダミアンの出方次第で対応を考えてみるよ」


そこまで話した時、ウェイトレスさんが料理を運んでこちらへ歩いてくる姿が目に入った。


「ロザリー。料理が届いたようだから、まずは食べよう?」


「はい」


ルペルト様のお陰で…ようやく私の身体の震えは治まるのだった―。

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