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11-9 臨時休校最後の日

 その後、授業が再開されるまでの1週間…私はアルバイトの回数を増やしてもらい、毎日5時間働かせて貰った。


時折、バイト先にはイアソン王子とルペルト様が顔を見せてくれて高価な花束を買っていってくれた。

その花束を何に使うのか、さり気なく尋ねたところ、レナート様のお見舞いに持っていくと少しイアソン王子は恥ずかしそうに答えてくれた。


 イアソン王子は王族であり、レナート様とはそれなりに付き合いがあるので面会を許されていた。

またルペルト様も高位貴族であり、イアソン王子と親しい仲であると言うことから、お2人一緒の場合はレナート様の面会を許されていたのだ。



 そして、臨時休校の最終日を迎えた―。


****



午後5時、私のアルバイトの時間が終了した。



「それではカトリーヌさん。5時になったので、上がらせて頂きます」


エプロンを外しながら店の奥で仕事をしていたカトリーヌさんに声を掛けた。


「あら、そう言えばもうこんな時間だったのね。ご苦労さま、ロザリー」


「はい、それでは失礼します」


畳んだエプロンを肩かけバッグにしまうと、お辞儀をしてお店を出た。




「え?」


お店の裏口から通りに出ると、何とイアソン王子とルペルト様が夕日を背に立っていた。


「アルバイトが終わったようだな」


防寒コートに身を包んだイアソン王子が白い息を吐きながら声を掛けてきた。


「お疲れ様、ロザリー」


ルペルト様は笑顔でこちらを見ている。


「イアソン王子、それにルペルト様…一体こんな時間にどうされたのですか?」


私は2人に駆け寄った。


「実はさっきまでレナートの入院先にいたんだ」

「フランシスカさんもいたよ」



「そうだったのですね…」


「実はそのことで話がある。そろそろ夕食の時間だし、3人で何処かで食事でもしながら話をすることにしよう」


「は、はい…」


でも私、そんなに持ち合わせが…。


するとルペルト様が笑った。


「実は最近、この店の近くでホットサンド屋さんが開店したんだよ。安くて手軽に食事が出来るということで、人気なんだよ。そこに行こうかと思っているんだ」


「え…?そうなのですか?」


安くて手軽…。

それなら私もお金を支払えそうだ。


「ロザリー、ひょっとして値段の事を気にしていたのか?」


イアソン王子が呆れ顔で私を見る。


「はい、そうです」


「前から言ってるだろう?そんなこと気にする必要は無いって。全く…」


イアソン王子は何が不満なのかブツブツ言っている。


「ほらほら、いいから行きましょう」


ルペルト様はイアソン王子を宥めると、私達は3人で連れ立ってホットサンド屋さんに向った―。




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