表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

179/220

10-7 強引な頼みに押し切られ…

「何なんだ?あいつ…」


イアソン王子がボソリと言った。


「…」


私の隣に立つフランシスカ様が青ざめた顔で小刻みに震えている。


「大丈夫ですか?フランシスカ様」


私が声を掛けると、フランシスカ様は青ざめた顔で頷いた。


「え、ええ…。大丈夫…だけど、また明日誘いに来るからって…言ってたわよね…」


「そうだな」

「そうですね…」


イアソン王子と私は交互に頷く。


「ど、どうしましょう…。このままでは…又明日レナートが誘いに来てしまうわ…」


自分の両肩を抱きしめるように震えるフランシスカ様は心底怯えて見えた。


「お願いです!イアソン王子!明日もレナートが私を誘いに来てしまいます!ど、どうか明日も一緒にいて頂けませんか?!」


フランシスカ様は両手を胸の前で組んで、イアソン王子に頭を下げてきた。


「う…ん…それが駄目なんだ…。明日は用事があって朝から留守にしないとならくて…。力になれなくてごめん」


申し訳無さげに謝るイアソン王子。


「そ、そんな…」


フランシスカ様の目に涙がたまる。


「フランシスカ様、明日はお友達の方々と一緒にいられてはいかがですか?」


「そうだな、ロザリーの言う通りだ。明日は自分の友人と過ごすと良い」


イアソン王子も同意した。


けれど…。


「それが駄目なの…。まだ誰も帰っていないのよ。明日の夕方にならないと帰省してこないの」


首を振って答えるフランシスカ様。


「そうなのですか…」


それではどうすれば良いのだろう…。


するとイアソン王子が私を見て、とんでもないことを言ってきた。


「何も悩む必要はない。ロザリー、君が明日フランシスカと一緒に過ごせばいいんだ」


「え?で、ですが…」


イアソン王子の突然の提案に驚いてしまった。


「ええ、そうね。ロザリーが一緒にいてくれれば心強いわ」


フランシスカ様までイアソン王子に同意する。けれど、レナート様は私のことなど気にもとめない。恐らくレナート様にとって私は取るに足らない存在なのだろう。それに何より私はレナート様が怖かった。

きっと明日フランシスカ様と私が一緒にいれば、益々レナート様は私に対する憎しみを募らせて来る気がする…。


「あの、申し訳ありませんが…恐らく私が一緒にいても何のお力にもなれないと思います。もっと他に適任者の方にお願いして貰えないでしょうか?」


「そんな事を言わないで、明日はフランシスカに付き合ってやるんだ。どうせ特に用事もないのだろう?」


「お願い、ロザリー。1人になるのは怖いのよ」


強引なイアソン王子とフランシスカ様に涙目で訴えられた私は…仕方なく明日はフランシスカ様と過ごす事を約束させられてしまうことになってしまった―。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ