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10-3 公園での会話

「レナート様の…お話に…ですか?」


どうしよう、断りたい…。


けれど私の心の内にレナート様が気付くはずもない。


「うん、ちょっと手持ち無沙汰でね…どうやって時間を潰そうかと考えていたんだ。そしたらロザリーを見かけたんだ。君は今1人なんだろう?」


にこやかに話しかけてくるレナート様。

レナート様は…あれ程私を嫌っていたはずなのに、何故こんな風に笑顔で話しかけてこれるのだろう?私には気持ちが理解出来なかった。


けれど私の心の傷はレナート様によって深く傷つけられたままだった。

ようやく、少しずつ傷がふさがってきたかと思っていたのに…。


もうレナート様とは一切関わりたくない。…そこで私はレナート様に恐る恐る言った。


「あ、あの…平民である私に話しかけるのはレナート様の評判が落ちてしまいます。この公園には学園の生徒たちが沢山来る場所なのですよね?万一誰かに見られるとも限りませんから…」


ここまで言えば開放してくれるだろう。

そう思っていたのだけれども…。


「ロザリー、今君が首に巻いているストールを頭から巻いて顔を隠せば君だとバレることはないだろう?」


「え…?」


そ、そんな…。

チラリとレナート様を見ると、私のことをじっと凝視している。

とてもではないけれども断れる雰囲気では無かった。


「わ、分かりました…」


心のなかでため息をつくと、首に巻いていたストールを外した。そして頭からかぶると口元を隠すように巻いてみた。


「うん、それなら誰も君がロザリーだとは思わないはずだ」


レナート様は満足げに頷いた。


「そうですか…」


何だか胃が痛くなって来そうだ。話を聞いたら早めに立ち去らせて貰おう。

そこで私は早速レナート様に促した。


「それで…お話とは何でしょうか?」


「うん。そうだな…。どうだった?冬期休暇は?」


「はい、充実した毎日を過ごすことが出来ました」


私は辺り触りのない返事をすることに決めた。


「そうかい?それは良かった…けれど僕は…」


レナート様の顔が曇った。


「…どうかされたのですか?」


「うん。僕は…フランシスカと帰省したのに、結局クリスマスパーティーの日にしか彼女と会うことが出来なかったんだ」


「そうなのですか?」


フランシスカ様はよほどレナート様と一緒にいたくはなかったのかもしれない。今までの私は2人の仲を取り持とうと必死になっていたけれも…フランシスカ様はレナート様と一緒にならないほうが良いのかも知れない…。

そんな考えがいつしか私の頭をしめていた。


「それだけじゃないんだ…。実は彼女の家族から僕の家に婚約解消をして欲しいと申し出があったんだよ」


「え?」


予想もしていなかったレナート様の言葉に思わず反応してしまった―。


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