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9−8 パーティー会場入り

「まぁ…あれがお城なのね…」


ガラガラと走る馬車の中から、私は窓の外を見た。眼前には白亜の美しい城が建っている。青い屋根が美しく、緑に囲まれた城はまるでお伽噺の世界に出てくるお城のように見えた。



城を囲む城壁も真っ白で、大きな門扉をくぐり抜けて馬車は城の敷地内を駆けていく。城へ続くアプローチは大きな噴水や整えられた花壇がいくつも設けられ、それは見事だった。


「本当に素敵な場所ね…」


思わず感嘆のため息をつきながら目の前の景色をじっと見つめていたが、やがて馬車は城の入口で停まった。


ガチャン


馬車の扉が開かれると、そこには私をここまで乗せてくれた御者の男性が立っていた。


「ロザリー様。城に到着致しました」


そして手を差し出してきた。


「ありがとうございます」


御者さんの手を借りて馬車を降りて、気がついた。城の扉の前には紺色のデイ・ドレス姿の年配女性の姿があった。


「ロザリー・ダナン様ですね?」


デイ・ドレスの女性は前に出てくると声を掛けてきた。


「は、はい。そうですが…?」


「イアソン王子からお話を伺っております。本日はメイドの姿に扮してパーティーに参加すると。そこで私が案内をするように申し使っております。私はメイド長のエマと申します。どうぞ宜しくお願い致します」


そして頭を下げてきたので私も慌てて頭を下げた。


「こちらこそどうぞ宜しくお願い致します」


「では、こちらへどうぞ」


エマさんは私の前に立つと、城の中へと入って行った―。




****



 案内されたのはいわゆる『大広間』と呼ばれる大ホールだった。首を見上げるほどに高い天井には大きなシャンデリアが幾つも吊り下げられている。大理石の床は磨き上げられ、光沢を放っていた。大ホールの奥には1段高い舞台があり、そこでは既にドレスアップした管弦楽団の人たちが、リハーサルの準備で音合せを行っている。更に反対側の奥には大きなテーブルが置かれ、既に料理が並べ始められていた。


「まぁ…何て素敵なのでしょう…」


思わず初めて目にするパーティー会場の様子に感嘆のため息を漏らす。


「ロザリー様、取り敢えずは他のメイド達に紛れるように待機して頂ければ大丈夫です。もしお疲れなら、この奥に従業員用の休憩室がありますのでそちらでお休み頂いても構いませんので。メイドのお仕事ですが、今夜はあまりすることなは無いと思います。お客様たちへのお食事は立食式なので皆様達で選んで頂くので。せいぜいお飲み物を頼まれる程度だと思います」


「詳しく教えて頂き、ありがとうございます」


「いいえ。ロザリー様には丁寧に対応するようにイアソン王子から言い使っておりますので。そろそろお客様がいらっしゃる頃なので、あちらのテーブルの奥で待機していてください」


言われた場所には既にメイドたちが固まって立っていた。


「はい、分かりました」


そして私はテーブルの奥へ向かった―。

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