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8-15 パートナーの条件


「お、踊り…ダンスの事ですよね…?」


「ああ、そうだ」


「踊れません。…そもそも習ったことすらありません」


大体リーガル学園に通うまで、私は一度も学校にすら通ったことが無かったのに、踊りを教わるはずがない。


「そうか…踊れないのか。まぁ、ロザリーの今までの生活ぶりを考えてみればそもそも踊れなくて当然か‥‥」


イアソン王子は腕組みしながら難しい顔をする。


「当然です…。別にクリスマスパーティーに出席したからと言って、踊る必要はありませんよね?」


「…」


しかし、イアソン王子は難しい顔をしたまま、答えない。


「イアソン王子?」


「実は…今度のクリスマスパーティーに出席する際…俺のパートナーにはロザリーになってもらおうかと思っていたんだ。そうなると最初のダンスの1曲目は一緒に踊ることが義務付けられている」


「え?!な、何故ですかっ?!」


あまりの発言に驚いた。


「毎年、城で開かれるクリスマスパーティだが、多くの野心を持つ貴族達が自分の娘をパートナーにしてくれと申し出が殺到するんだ。勿論令嬢達からもな。俺にはまだ婚約者もいなければ、恋人もいない。だから皆が言い寄ってくる。それが鬱陶しくてたまらないんだ。やむを得ず、パートナーを選ぶと何を勘違いしてか知らないが、まるで俺が恋人か婚約者にでもなったかのように勘違いしてくるし…本当に煩わしくてたまらない。だが、その点パートナーをロザリーにすれば安心だろう?」


「…何を基準に私をパートナーにすれば安心なのか理解出来ないのですが…?」


私にはイアソン王子の考えが読めなかった。


「何を基準かって?何故なら君はあのユーグ大公に嫁ぐことが決まっている。それを堂々と宣言していれば、俺がロザリーをパートナーに選んだって、誰も文句を言わないだろうし、あらぬ噂を立てられることもないだろう?」


「そういうものなのでしょうか…?私をパートナーにすれば、かえって世間から疑われ、あらぬ噂を立てられてしまう気がするのですけど…」


イアソン王子にしてみれば、私と噂を立てられたりしようものならかなり迷惑な事だろう。


「いや、そんなことは無いさ。別にパートナーを姉や妹にする者達だっているからな。だが生憎俺には姉も妹もいないから毎年パートナー選びには苦労しているんだ」


「…そうですか。でも、私をパートナーに選べばイアソン王子が恥をかかれてしまいます。本当に私は一切の踊りを知らないのですから。…それどころか見たことすらありません。なのでどうかクリスマスパーティーは欠席させて下さい」


頭を下げてお願いした。

けれど…。


「いいや、それだけは絶対に駄目だ。それにパーティーに参加しなければロザリーだって困ることになるぞ?」


「何故私が困ることになるのですか?」


「そんなのは決まっている。絶対ユーグ大公に尋ねられるはずだからな。クリスマスパーティーはどうだったか?と。参加しなければ感想すら話せないからな?」


イアソン王子は勝ち誇ったかのような顔で私を見つめてきた―。






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