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8-7 有無を言わさない態度

「聞けば聞くほど…気の毒な身の上だね」


イアソン王子がため息をついた。


「…」


私は何と答えれば良いか分からず、俯いているとやがて馬車が止まり、御者が馬車の扉を開けてくれた。


「どうやら着いたようだね…降りようか?ロザリー」


そしてイアソン王子は手を差し伸べてきた―。




 降り立ったのは大きなブティックだった。目の前の白い石造りの建物のガラス窓からは女性物のワンピースドレスが売られている様子が見て取れた。



「イアソン王子…本当にこのお店で買うつもりなのですか…?」


恐る恐る尋ねた。


「ああ、当然じゃないか」


「で、でも…とても高級そうですよ?この様な高級なブティックで…」


言いかけてそこで私は口を閉ざした。何故ならイアソン王子が冷たい視線で私を見ているからだ。


「ロザリー…まだ分からないのかい?俺はこの国の王太子であり…君は王族の血を引く人間なんだ。そんな格好ではあのホテルにこの先、後一月近くも滞在出来ると思っているのかい?」


「そ、それは…」


だからこそ、私はあんな分不相応なホテルに宿泊したく無かったのに…。私の希望としては何処か安いアパートをイアソン王子に借りて貰って…そこで静かに冬期休暇を過ごそうと思っていたのに…。


「時間が惜しい。早く店に入ろう」


そして私はイアソン王子に連れられてブティックの中へと入って行った。




「まぁ…ようこそ、ハーバート様」


対応してくれた女性はドレスの裾をつまみ、深々とイアソン王子に頭を下げた。


「ああ、この女性に合うドレスを20着用意してくれ」


えっ?!20着っ?!聞き間違いでは無いだろうか?


「はい、かしこまりました。ではお嬢様、こちらへどうぞ」


女性は私を店の奥へと案内しようとする。


「あ、あの…イアソン王子。いくら何でも20着は…」


言いかけようとすると、イアソン王子は口を開いた。


「時間が惜しい、俺はここで待っているか早く済ませてくれないか?」


その言葉は有無を言わさないものだった―。




****


 私は店の奥にあるフィッティングルームという部屋に連れてこられた。その部屋の中には2人の若い女性が待っていた。


「ではこれからお嬢様のサイズを測らせて頂きます」


メジャーを持った女性が私に声を掛けてきた。


「は、はい…よろしくお願いします」



そして、私のサイズ測定が始まった―。




「ではサイズは確認しましたので、今この店にある同じサイズのドレスを運んでまいりますのでお待ち下さい」


最初に私達を出迎えてくれた女性が頭を下げ…サイズを測ってくれた女性達と共に部屋を出ていってしまった。


「私…自分で選びに行かなくていいのかしら…?」


1人、フィッティングルームに残された私は思わずポツリと呟いた―。







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