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8-6 知られていた私の秘密 2

「全く…ロザリーも気の毒だよね?母親の記憶も無いのに、尻拭いをさせられているのだから」


イアソン王子は相変わらず不機嫌そうに窓の外を眺めていたが、私に視線を移すと尋ねてきた。


「ロザリー。この際だ。君の育ての父親の事を聞かせてくれ。それに…確か他に2人の弟がいると君の入学時の家庭調査書に記入されていたようだけど?」


「イアソン王子…そんなに私の事が気になりましたか…?」


気付けば、私はイアソン王子に対してとんでもない事を口にしてしまっていた。


「え?」


驚いたように目を見開いて私を見るイアソン王子。その姿を見て我に返った。


「あ…も、申し訳ございません。イアソン王子に大変失礼な事を申し上げてしまいました」


「何故謝る?別に何も失礼な事は言っていないじゃないか?」


「でも…」


「まぁ、確かに気にはなるよ。家はすごく貧しいのに、あの『リーガル学園』に入学してきたのだから。しかも出身校も何も記載がされていない…となれば興味を持つのは当然だろう?」


「…」


勝手に私の事を調べないで下さい…。本当ならそう言いたいところだけれど、相手はこの国の王太子様。とてもでは無いけれど、言えるはずも無い。


「ロザリーは学校には行っていなかったんだね?」


「はい…家が貧しかったので、学校には行っていませんでした。代わりに近所で学校へ通えない子どもたちの為に神父様が勉強を教えてくれましたし、父も教えてくれました」


「ふ〜ん…ではロザリーの育てのお父さんは…学問を身につけていたって言うことだね?家は農家となっているけれど…本当はどんな仕事をしていたんだい?王女と暮らしていたくらいなのだから…普通の人じゃ無かっただろう?」


イアソン王子は恐らく気づいているはずなのに意地悪な事を尋ねてくる。


「はい、父は…母の執事でした…。ユーグ様との婚姻話は母が生まれた時から決まっていたそうです。そして、母もそれを受け入れていたのですけど…ある時恋人が出来たようで…私を妊娠したそうです。母は執事であった父にも相手の男性の事を話さず…私を誰にも知られる事無く産みたいと父に頼み込んだそうです」


「成程…。それで執事だったロザリーの父親は君の母親を連れて…逃げたんだな?誰にも知られない土地へ行き、恐らく夫婦として暮らし始めたのだろう?」


「その通りです。そして母は…私を産んですぐに…亡くなってしまいました。父は私を1人で育てようとしたのですが、近所に住む若い女性が手伝いを申し出てくれて…そのまま夫婦となりました。2人の弟を産んで…2年後に病気で亡くなってしまいましたが、とても優しい人だったそうです。…私は殆ど覚えていませんけど」


…私はとうとう、イアソン王子に身の上話をしてしまった―。



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