6-10 様子のおかしい父と弟
翌朝―
5時に起きた私は早速朝の準備を始めた。着がえを済ませると、外にでると小屋に向かった。
ギィ～…
木の扉を開けると、中には夏の間に家族が用意した薪が束になって並べられている。
それらの薪を抱えて持つと小屋を出て再び家の中に入ると、居間に置かれた薪ストーブに薪をくべて火をつけた。
残りの薪は台所へ運び、ダッチオーブンに火を起こすと私は料理を始めた―。
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「あれ？姉ちゃん？まさか料理作っていたのか？」
6時になるとフレディが台所に現れた。
「うん。お料理を作っていたのよ」
お玉で鍋の中をかき混ぜながら返事をした。
「そんな…姉ちゃんは休暇で帰ってきているんだからそんな事しなくたっていいのに…」
「あら、そんなこと言わないでよ。私もこの家の人間だし、料理作るの好きなんだもの。そうだわ。フレディ、手伝ってくれる？」
「当然だろ？」
「フフフ…それじゃチーズをスライスしてくれる？」
「分ったよ」
そして私とフレディは並んで料理を作り始めた―。
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午前7時―
「うわ～…おいしそうだな…」
ダミアンがテーブルの上に並べられた料理を前に目を見開く。スープにパン。チーズ入りのパンに家庭菜園で育てたサラダがそれぞれの食卓の前に置かれている。
「それじゃ、早速食事を頂くことにしようか？」
父の言葉に私達は頷くと、家族4人の和やかな朝食が始まった―。
午前8時―
「はい、ダミアン。お父さんとダミアンの分のお弁当よ」
私はこれから仕事に出掛けるダミアンと父の為に用意したお弁当の入ったバスケットを手渡した。父は先に外にでて荷馬車の準備をしている。フレディは台所で後片付けの真っ最中だ。
「ありがとう、姉さん。お弁当の中身は何？」
バスケットを受け取ったダミアンが尋ねて来た。
「フフフ…バゲットサンドよ」
「…ありがとう、姉さん。やっぱり姉さんは女性らしくて最高だよ。この辺の村の女の子たちとは大違いだ…」
しんみりした様子でダミアンが言う。
「そんな事無いわよ。この村にも素敵な女の子たちがいるでしょう？」
「…いないよ。姉さんみたいに魅力的な女の子なんか…」
不意にダミアンが俯きながら言った。
「ダミアン？どうしたの？」
するとダミアンが顔を上げると言った。
「姉さん、俺…！」
その時―。
「ダミアンッ！」
背後で父が強い口調でダミアンを呼んだ。
「あ…父さん…」
すると父は何故か険しい顔でこちらへずかずかと近付いてくるとダミアンに言った。
「ダミアン…一体ここで何をしていたんだ？」
「え？お、俺は別に…」
狼狽えるダミアンを父は険しい顔で睨み付けている、
「待って、お父さん。どうしたの？ダミアンにお弁当を渡していただけなのよ？」
一体父はどうしてしまったのだろう？
「え？お弁当…？そうなのか？ダミアン」
「そ、そうだよ...」
「何だ…そうだったのか…てっきり私は…」
父が何故か安堵のため息をつく。
「お父さん？どうしたの？何か変よ？」
それに何だかダミアンの様子もおかしい。
「いや、何でもない。それじゃ仕事に行こう」
「…はい」
「行ってらっしゃい」
戸口で手を振ると、2人共私に笑顔で手を振ると仕事に出掛けた―。
