第4話 ワーム
「うっ。」
蠢いている。ワームの類か。様々な種類が
犇めき合っている。世の中で一番苦手なもの
だ。
「ううっ。」
それしか声が出ない。
大小のワームが私の身体の重みで潰されて
いく感覚。酷い臭いだ。勘弁してくれ。ワー
ムのプールか。なぜそんなものがここに。な
ぜそんなところに私は落ちたのだ。どんどん
体が沈んでいく。
「助けてくれ。」
足が付かないほどのワームのプール。プー
ルと言うのは比喩だ。見渡す限り全部ワーム
だった。
ずぶずぶと沈んでいく。水を掻くように手
をうごかしてみても効果はなかった。ずぶず
ぶと沈んでいく。
もう顔まで達した。口にワームが入りそう
になる。なんとか口を閉じようとするが、唇
に当たる感触が悍ましかった。
鼻まで沈んでしまった。駄目だ、息が出来
ない。鼻からどんどん入ってくる。発狂し
そうな感触。息をするために口を開けた途端、
口からもどんどん入ってくる。
耳まで沈んだ。当然耳からも入ってくる。
くちゃくちゃと背筋がぞわぞわするような
音が耳の中でしている。
目も沈んだ。こいつらは目からさえも入っ
てこようとする。
頭も沈んだ。もう手も出ていない。口の中
に入って来たものが一番気持ち悪かった。
ありとあらゆる穴からワームは入り込んで
くる。最早体内にも大量のワームが入り込ん
でいた。口や鼻から入って胃をワームが満た
す。肛門から入って大腸を通り胃に至る。体
内のありとあらゆる隙間をワームで埋められ
て行く。
ここまで来てやっと意識が無くなった。