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プロローグ〜運命の出会い

人間×人外に挑戦。

 現代日本。この国には様々な未解決事件が存在している。主に多いのは行方不明者だ。山や海は勿論のこと、街中やちょっと目を離した隙の家の中まで。行方不明者の発生は後を絶たない。国家機関である警察が無能という訳でもない。寧ろ、様々な事件が起きる日本を守る為に他国の警察機関より優れている。だが、未解決事件が多い。世界からは、神隠しの国とまで呼ばれる始末。

 そんな国の人気が全くしない山の中を歩く男が一人。季節は秋なので陽が落ちていても、凍死する様な寒さにはならない。だが、少なくとも男に紅葉を楽しむ様な余裕はない。基本的にインドア派な為、歩き続けた体力は既に底を尽き、外部と連絡を取るための携帯は彼を虐めている連中に奪われた。ふらふらと歩く様は、まるで幽鬼の如く。そんな男の名前は、かなめ 優一郎ゆういちろう

 虐めの一環で、目隠しをされ、鬱蒼とした木々が生える山の中へ置き去りにされてしまったのだ。この山は、開発を行う度に何かしらの事件が起き、怪我人や死者が現れる為奥に行けば行くほど人の手が入っていない。


「疲れた……水、飲みたい……」


 人の灯りが見える事はない。このまま、自分は野垂れ死ぬのだろうか?そんな考えが頭を過ぎる。方向が分からず山の奥へと進み過ぎた。人の手が一切、感じられない道はまだ高校生である彼の心を折るには十分過ぎた。やがて、諦めが動いていた足を止める。木にもたれ掛かり、暗くなった空を見上げる。


「……綺麗だなぁ」


 人工物の明かりがない今、星は本来の輝きを優一郎へと届ける。手を伸ばし、決して届かない輝きに見惚れる。眠る様に瞼が落ちていく中、彼は近くの茂みが揺れる音を聞いた。


「……あら?こんなところに人間。また、懲りずに来たの」


 青みの強い銀髪が月の光を受け、輝く。意識が朦朧としている彼には、その光景がこの世のものとは思えないほど綺麗に見えた。


「綺麗だなぁ……」


「ッッ!?」


 手を伸ばしながら、だが疲労による睡魔に抗う事は出来ず、力尽きる。溢れる様に落ちたその手を、銀髪の髪をした下半身が蛇の女性は反射的に受け止める。脈を測り、目の前の少年が生きている事を理解すればゆっくりと優しく彼を担ぐ。


「……これは別に人間を助ける訳じゃない。そう、決して綺麗ってもう一度言われたい訳じゃないの」


 少年を担いだまま、誰に言い訳をしてるのか独り言を発しながら山の奥へと消えていく。


 この日本には、人間以外にもとある知的生命体が存在している。彼らは、時として人間に恐れられ、時には信仰の対象として、時には人間と争う事もあった。その種族の名は『妖魔』

 潜在的な人類の天敵である。

 

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