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3 剣の時代

「イサベル公女殿下、しばらく俺もここでモギ博士の講義を受けることになった。よろしくな」テール・クーン・ジュノーはそう言って、イサベルの隣に座った。


 モギ博士はシエナ大公国に雇われていたが、彼の講義を受けたいと言ってやってくる者も多い。彼はこの星で一番の科学者と言われているからである。


 イサベルは居心地が悪くなって、プイと横を向いてしまった。


 テールは興味深そうに博士の"二足歩行についての解説"を聞いていた。


 外からは相変わらず、剣術の修練の"カーン・カーン・キィーン"という音が聞こえる。イサベルは何気なくまた、剣術の修練を見ていた。人と人が剣と剣で闘うこの時代は、後世の人々からは"剣の時代"と呼ばれていた。


「おや公女殿下は剣術の方がお好きか?」とテールは言った。イサベルからは、その顔はやや意地悪そうにも見えた。


「ええ、私はあの者たちと剣術の修練をしたいわ」イサベルは不敵を装ってそう言った。しかし、実は彼女は剣を持ったこともないのである。


「ならば剣を交えてみよう」テールはまだ講義の途中であったが、早速行こうと誘った。


「テール王子殿下、それはいけません」モギ博士は止めたが、言うことを聞くテールではなかった。



***



 テールとイサベルが出ていくと、修練を行っていた下級貴族の子弟達は跪いた。


「我々も剣の修練に加えて欲しい」テールは大公国騎士団修練長に言った。


「テール様、それにイサベル様も......それはいけませぬ。それに今はこの者たちの修練の時間でございます」修練長は言う。


「まあ、そう固いことを申すな」テールはそう言うと、そこにいた少年達から剣を二本借りると一本をイサベルに渡した。


 イサベルは剣というものを初めて持った。思っていたより重い。おもわず落としそうになる。それを見てテールは「公女殿下は剣は初めてか? ならば教えてさし上げよう」と言った。


 テールは剣の持ち方、降り方、受け方を教えた。これは片手剣だが、最初は両手で持つのも良かろうと言った。イサベルはテールの言う通りに剣を持つと、剣は怜悧に光ったように見えた。


 少女といえどイサベルもまた大公国公女である。特にシエナ大公家は騎士の血を濃く受け継いでいると言われている。


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