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1 王国と大公国

 テール・クーン・ジュノーはジュノー王国の王子であった。


 ジュノー王国はこの時代この星で最大の軍事大国であった。(もっともこの時代だけでなく、ジュノー王国はほとんどの時代において強国であったのではあるが。)


 しかし、この時代にはまだ生命型兵器である ≪ネイチャー≫ は開発されていなかったし、後に生命型兵器の原型となる ≪ジェネレーションズ≫ と呼ばれるロボット型兵器の開発にようやく着手されるくらいの時代であった。


 クーン家はジュノー王家の中でも最もくらいの高い家柄であった。そのため、テールは少々わがままに育てられたかもしれない。


 テールは後に狂王と呼ばれ隣国から恐れられるようになるのだが、この物語はあくまで彼の少年時代の物語であり、ジュノー王国は軍事大国であるが戦争の物語でもなく、これはテールとその花嫁となる少女の物語である。



***



 さて、その一方の花嫁となる少女は、ジュノー王国の隣国であるシエナ大公国の大公の娘であった。シエナ大公国は小国であったし、不運なことにジュノー王国という大国のそばにあったため、この大公国が歴史上に存在したのはこの時代のほんの数十年間のみであった。


 娘の名はイサベル・シエナと言った。イサベルもまたシエナ大公にたいそう可愛がられて育ったため、わがままな性格であったかもしれない。いや、わがままさで言えばこの頃のテールの上をいっていたであろう。


「お父さま、なぜわたくしはテールなどと結婚せねばならぬのですか」とイサベルは父であるシエナ大公に抗議していたところであった。


「おお、イサベルよ、テール王子を呼び捨てになどしてはいけない。テール殿下と呼ぶのだ」大公は娘をたしなめた。


「お父さま、わたくしは呼び方を聞いているのではございません。結婚をしたくないと言っているのです」


「イサベル、そう申すな。あれはなかなかの少年であったぞ。将来は良い王となるであろう。わしの目に狂いはない」


「お父さまは何も分かっていないのでございます」


 "お父さまは何も分かってない" 少女は頭の中でもう一度つぶやいた。しかし、イサベルは大公国に雇われた家庭教師に呼ばれたため、大公への抗議を中断し、しぶしぶのように家庭教師の元へ向かっていった。


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