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バッドエンド

転移者の狂気

作者: 佐田くじら
掲載日:2019/02/03

よろしくお願い致します。

あるところに、歌を歌うことの好きな少女がいた。


彼女の歌が聞こえぬ時は、彼女が飯を食らう時と寝ている時だけだった。


彼女は小さな村にいた。


彼女を知らない者はいなかった。


彼女の歌う歌は、誰も知らない言葉だった。


だが、彼女の歌う歌は誰もが心を引かれる歌だった。


声が綺麗なのもあるが。


歌が魅力なのだ。


不思議な歌だ。


ある人は感謝の歌だという。


ある人は怨嗟の歌だという。


彼女が歌うとき、彼女の表情は抜け落ちる。


感情を押し殺すように。


理性を解き放つように。


彼女の生まれは村ではない。


ある日突然現れた彼女は。


神だとも鬼だとも言われてる。


村人は彼女を恐れる。


彼女に食料が与えられ。


彼女に住居が与えられ。


村人は彼女を崇める。




あるとき、彼女に恋した男が現れた。


曰く、歌に惹かれたと。


曰く、彼女に惹かれたと。


彼女は歌いながら、にっこりと嗤った。


彼女を不気味に思う者さえ、ゾクリとする笑みだった。


彼女は、歌に返事をのせた。


彼は、それを聞いて泣いた。


彼女も、それを見て泣いた。


彼女の、初めての涙だった。


彼はその日から、彼女と共にあった。


彼女は彼の唯一で。


彼は彼女の唯一で。


互いは世界で一人の理解者だった。




暫くして、彼女の声が枯れた。


彼女の美しい声はなくなった。


だが彼女は歌い続けた。


彼と共に歌い続けた。


醜い声で歌い続けた。


狂ったように、歌い続けた。


辛いと嘆くように。


幸せだと喜ぶように。


やがて彼女の喉は裂け。


やがて彼女らの歌は消えた。


共にふたりの姿も消え。


歌の響く村も消えた。


さる人は平和が生まれたという。


さる人は平和が死んだという。


あの人は呪いだったという。


あの人は祝いだったという。


彼と彼女の逝く末は。


誰にも掴むことができなかった。


ただひとつ確かなことは。


彼と彼女の存在の影が。


いつまでも村人の心に残ったことだ。

読んでくださった方、ありがとうございました!

ポイントを恵んで下さい!(直球)


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