生まれし吾(あ) 02
そんな大それたこと、できないーーー。
始めに思ったことはそれだった。
しかし、神の御前に分けた各部位が、さまざまな事を憶うのが聴こえた。
あの場所にもう一度行きたい。
温泉とやらに浸かりたい。
沈む天体の美しさを味わいたい。
昇る天体の運行を観測したい。
あの丘で、揺れる白い花を見に行きたい。
進化したら、この記憶は?
進化したら。この思考は?
統合されるのか?
分割されるのか?
ざわめく各部位の声。
吾の身体であった、一体であったものたち。
意思を持ち、意志を示し、ざわざわと語りかけてくる。
『然うか。子よ、カミにはまだ達せぬか。
善い。では一つ任そう。
この世界のイロづくチの種族、【青】【赤】【黄】【緑】をカリ取れ。
ゆるゆると減らせば、其方は進化せず、【黒】の種族へと退化する。
全てカルと進化し、新たなカミが統べる【石の世界】に生まれ変わる』
カル、が、枯る、狩る、刈ると意味を持ちながら聞こえた。
『【白】い子よ。成る可くなら進化し、咲き誇れ。望まなければ白光線を使い、ゆるゆると減らせ。もうイロのチを見るのは飽いた。私は静かに在りたい』