期待できる転生
瞼越しでやんわりとした明るさを感じた。
また死んで戻ってきたんだな。
「おーつかれさん」
邪龍の魂が話しかけてくる。あれ、少し大きくなってないか…?
「今回は中々経験値を稼いだみたいじゃの。」
「あんだけマッドウルフを倒したらな、それより邪龍さんよ、少し魂が大きくなってないか?」
邪龍の魂が嬉しそうに震えた。
「気づいたか!流石じゃ。我の魂の成長はお前さんが戦ったマッドウルフ達とも無関係じゃないんじゃ。」
「というと?」
「バレンシア大陸、ミブ大陸で魔物が暴れまわっとる。そして大勢の魂がこっちに来た。我はそれを取り込んだのじゃ。おそらく魔界もといザグロア大陸で誰かが何か企んどるんじゃろう。」
「なるほど、俺も誰かの企みに巻き込まれたのか。」
「しかしその事にはメリットもある。」
「どんなだ。」
「我の魂の成長によりお前さんの転生システムを少しグレードアップ出来るのじゃ。」
「それは助かる。だがどういう風にグレードアップしてくれるんだ?」
「ステータス、経験値の表示じゃ。他人のも見れるぞい。」
「相手の強さ、自分の強さがわかっていれば逃げるという選択肢が生まれ死亡率が下がるな。」
「そういう事じゃ。そしてついに人型に転生出来るぞい。」
「ついに来たか!で、何に生まれ変わる⁈」
「それはわからんが、前回経験値が結構溜まっとるから期待はしてもらって構わん。」
やっと俺の野望が動き始めた。
人々に悪政を強いる勇者共を殺す。
魔物程度では叶わない。ならばスキル、天恵などを持つ人型で倒すのみ。
「そろそろ転生始めるぞい」
「ああ。頼む。」
今回からは転生が楽しみだ。
「今回生まれる場所は魔界じゃ!」
!ザグロア大陸には勇者はいない。一番外れじゃねえか!
「頑張れよ〜」
「ちょ、ま…!」
光に包み込まれていく。
ガヤガヤと声がする。
ゆっくり目を開けた。
尻尾がある。鱗のような肌。周りには竜人達。
ここは邪竜信仰の残る竜人の国か。
竜人として頑張ろう。