貴族への誘い
今回、ラム伯爵が初登場です
今後も何度かラム伯爵が登場予定です
ヴァンの襲撃から1週間ほどが経ち、朝の模擬戦中、ルナが客人が来たと報告してくれた
汗を流すし応接間に行くと、エルマー子爵と、見慣れない服を着た男が座っていた
ヴァンの一件以来、アリシアかサーシャが俺の横に付き護衛する形を取っている。
今日はサーシャが護衛の付く日だ
リサが一番適任だが、リサは若干口調に問題があるので除外した。
「カイウス殿、朝早くから申し訳ない。こちらが以前少し話した、ラム伯爵だ」
「ラムだ、爵位は伯爵。先日、我が領地の貴族の不祥事を謝罪する、申し訳なかった」
「早速だが、カイウス殿、サヴィーニャ家は取り潰しとなることが決まった」
「それをなぜ私に?私は貴族ではありませんので、貴族の内政事情を知っても徳がありませんが」
「確かに、今のカイウス殿には徳が無い」
妙に含みのある言い方だな
「ここからは私が話そう、君を我が領地の貴族として取り上げたいと思っているのだ」
「私が貴族、ですか」
「そうだ、聞けばカイウス殿はここルビトーの迷宮を21層まで攻略しているそうじゃないか、それに、以前アリスタに生まれた迷宮を対峙したのも君だとうわさに聞いている。そんな力のある君をただの冒険者としておくのは惜しいと思ってね」
「生憎と、私が貴族にというのは考えたこともありませんし、この子たちと今まで通り迷宮探索をしていこうと考えていますので、辞退させていただきます」
「もちろん、ただで貴族になってくれとは言わない、生憎と私の領地に貴殿に与えられるだけの資源もなければ土地もない。ましてやカイウス殿が納得するような、金貨すら用意はできぬ、だが、爵位だぞカイウス殿、例えルビトーの爵位であっても爵位は爵位だ、他の国へ行っても有利になるんだぞ」
「私は、身分というものに拘りはありません、身分がなくとも、実力で認めてもらえばいい、実力で不満ならば知力で認めてもらえばいい、私はそう思っております。ですので先も申しましたが、貴族への誘いはお断りさせていただきます」
「なぜだ、カイウス殿、貴族という身分にあこがれはないのか。貴族と言うだけで、民からは敬われるのだぞ」
ラムのその言葉を聞いた瞬間、今まで沈黙を貫いていたサーシャが口を開く
「奴隷の身分ながら言わせていただきます。私のご主人様は、身分に一切のこだわりを持っておりません、奴隷である私たちにこのように立派なものを与え、大きなお屋敷に住まわせていただいている、これこそが何よりの証明です。先ほどから話を聞いていましたが、身分身分と連呼し、挙句爵位があれば民皮敬われるですか。それでは、先日ご主人様を襲撃したヴァンと同じです」
「確かに、サーシャの言う通り、身分に胡坐をかくような人に推薦され貴族になろうとは思いません」
「カイウス殿待ってくれ、ラム伯爵は本来そのようなことを言う方ではないのだ」
「もうよい、エルマー子爵、彼に何を言っても届かぬよ。私も所詮、サヴィーニャ一族と考えていることが同じだったということだ。私も一国の領主として考え方を改めねばならんな」
「ラム伯爵.....」
「カイウス殿、本当に貴族になるつもりはないのか、本当に微塵も思っておらぬのか」
「微塵もと聞かれれば嘘になります。でも、俺には貴族なんて性に合いませんから、こうやって迷宮を探索したり、国を回ったりする方が、俺の性にあってます。それに貴族の責任なんて御免ですから」
noblesse oblige大きな権利にはより大きな義務が付く
義務を負うくらいなら権利なんて持たないほうがいい
「そうか、ならば、何か欲しいものはないか。サヴィーニャ家を取り壊すきっかけを作った武功がある、それにサヴィーニャ家が迷惑をかけたということもある。何も渡さないではそれこそ、義務を全うしていないことになる」
「なら、少し前に併合した、ホーデンの王城に残った物品を見せてもらいたい、それと、ホーデンに伝わる金属加工技術の書物をいくつか読ませていただきたい」
「そんなことか、明日、私がホーデンの視察する予定だったので、それについてくると良い」
「連れのものを1人連れてもよいでしょうか」
「一人ならば問題はない、では明日、こちらへ寄らせてもらう」
「感謝します、ラム伯爵」
「礼はいらぬ、むしろ礼を言わねばならぬのはこちらの方だ、貴族であるのに慣れてしまい、いつの間にか胡坐をかいて爵位に座るようになってしまった、そのことに気づかせてくれたカイウス殿に礼を言わねばならぬ」
そう言ってラム伯爵と、エルマー子爵は町へと帰っていった
次回、アリシアとホーデンへ




