模擬戦
今回、急に書きたくなったアリシアパートです。
主に付き従う騎士って何か萌えますよね(自分だけでしょうか)
先日の決闘以来、アリシアとリサが俺に手合わせを申し込んでくるようになった
もちろん、使用するのはマチェーテや宝剣ラーガではなく、それそっくりに作った木刀だ。
木刀とはいえ重量も同じようにし、重量配分までほぼ同じものを作った。
錬金術が必要になったので夜中に最初の屋敷へワープし、作ってから帰ってきたのだ。
マチェーテや宝剣だけでなく、二人が使用している武器はすべて、レプリカの木刀を作成した
模擬戦は一日1回朝に行うというルールを設け、一応、迷宮用装備を身に付けて行う
今日の相手はアリシアだ
アリシアは姫騎士だったということもあり、やや型にはまりきった戦闘スタイルを取る傾向がある。
それでも問題ないのだが、教科書通りの剣ではイレギュラーに対応できない。
そのため、その弱点を克服してもらうための戦い方をしている
アリシアの剣は簡単に言えば早く重い
的確な位置に重い一撃を入れる、その後は距離を取り、再度隙を突いて接近を仕掛ける
どちらかと言えばリサよりもサーシャに似ているかもしれない
アリシアの一撃を軽くいなした後、アリシアに向かいステップを踏む。
どうやら騎士の剣術マニュアルでは、剣を入れた後お互いが距離を取るのがマナーらしい
「アリシア、戦場でマニュアル通りの動きをしてくれる敵なんていないよ」
アリシアの忠告をし手元に一撃を入れる
アリシアの顔が一瞬ゆがむ。
攻撃はできればしたくなかったが、アリシアたっての願いで、あまい攻撃や、動きをした際だけ攻撃するようにしている。
その後も、アリシアの弱点であるイレギュラーへの対応に特化した立ち回りでアリシアについて回る。
繰り返し模擬戦をしているおかげか、アリシアの剣もだいぶ自己流が増えてきている。
自己流を含みながらそれでいて美しく洗練された太刀筋だ。しかし、まだ少し、イレギュラーへの対応が甘い部分があるのでそこを集中して攻めたいところだ。
サーシャが呼びに来たため、模擬戦は終了。
汗を流すため風呂へ入る。
アリシアも最初は奴隷の身分でと言って風呂を断っていたが、汗をかいた後のふろほどいいものはない、それを知ったアリシアは断ることをしなくなった。
風呂に入った後アリシアはすぐに宝剣ラーガへ持ち替え、模擬戦でつかんだ動きの復習をしている。
模擬戦で汗を流し、風呂に入ってから朝食を食べる、朝食後は模擬戦の動きの確認をし、シャワーで汗を流す。ここまでがアリシアの朝のテンプレートだ。
シャワーを浴びて縁側でラーガの手入れをしているアリシアのそばに座り、アリシアの話を聞いてやる
話の内容は日によって違うが、夢だったり、幼少期のことだったり、騎士になった経緯だったり、好きな食べ物だったり、ここに来ての感想だったと様々だ。
話の内容は変わっても、話の終わりに必ず俺に買われてよかった、俺のためなら盾となり鉾となる覚悟だ。と言う決まり文句が付く。
短期間でかなり信頼されたものだな。としみじみ思いながらも、アリシアを含めたみんなに無理はさせまいと誓った。
そんなある日のこと、カルムの軍勢がホーデンへ侵攻し、ホーデンを吸収したという話を聞いた。
近いうちに怒るだろうと予想はしていたがやっぱりか...という感想だ。
その知らせを聞いたアリシアは予想以上に無反応だった。
「私は今、カイウス殿の奴隷である、主の居る場所が我が祖国なのだ。生まれの国など知らぬ」
口ではそういって強がってはいても、やはり祖国が無くなるというのは辛いのだろう。
その話を聞いて以来、アリシアは夜、一人で稽古をするようになった。
数日後、理由は分かっていたが、念のため、アリシアの後を付けていく。
ルビトーの町から少し外れた森でアリシアは一人木にもたれかかり空を見上げていた
「カイウス殿、そこに居るのだろう」
どうやら付けているのがばれていたらしい
「悪気はなかったんだけどね...」
「知っている、カイウス殿は他の男とは違う、父親のようなそんな感じがするから」
「アリシア、一人で溜め込むのはよくないぞ、例え個人的なことだとしても、俺はアリシアの主であり、家族なんだ。アリシアが悲しければ俺も悲しむし、アリシアが嬉しければ俺もうれしい。たまには声を上げて泣いてもいいと思うぞ」
そういった矢先アリシアが俺に飛び込んできた
「私は、カイウス殿の奴隷だ。奴隷は主に従いものだ。奴隷に落ちたとき、そしてカイウス殿に買われたとき、祖国を捨てようと決意したつもりだった、でも、いざ祖国が無くなると悲しくなって、気づいたら涙が出てるんだ。祖国に帰りたいわけじゃないんだ。ただ、私の存在理由すべてが否定された気がして、気が付くと涙が出るんだ」
アリシアは涙声のままそう言った
「なら、俺が新しい存在理由を与えるよ」
「へ?」
「俺の盾となり、鉾となってくれるんだろ。俺に向かってくる剣を防ぎ、俺の前に立つ盾を打ち崩してくれるんだろ、あの時そう言った。あの言葉は嘘だったのか?」
「違う、カイウス殿、それは違うぞ。あれは真実だ、一切の嘘はない」
「なら、それだけで存在理由になるじゃないか。俺の盾となり鉾となる。そのためには勝手に居なくなられちゃ困るんだ、盾も鉾も常に持ち主の近くになくっちゃ意味がないだろ」
その夜、アリシアは泣き続けた、今までとこれから、すべての涙を出し尽くすように泣き続けた。
空が白み始めたころアリシアは泣き疲れて眠ったようだ。
アリシアを抱え家に帰り、布団へ寝かせてやった。
次回は前回予告した通り7月19日夕方ごろを予定しています




