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記憶喪失の星  作者: 神風
第2章 始まり
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光の誕生は…

ついに数多の光体が御幸たちに放たれた。女性宇宙人が死力を尽くして助けようとしたものの間に合わず、幼い二人をかばっていた御幸に全ての光体が直撃した。

そして、数秒後には何もかも消えてなくなっていた。



…宇宙の摂理として、これは当然の結果。









…のはずだった。






しかし、数秒後、御幸を含め、そこにいたすべての生命体が無傷だったのだ。

彩菜「お姉ちゃん。大丈夫?」

御幸「…うん、大丈夫。」

そう言いつつ上空を見たが、数多の光体はまだ空中にいた。

御幸「まだ上に!急に光ったけど、まだ攻撃してこなかったの?」

祐樹「え!?でも、光はこっちに向かってきてたよ。」


そんな様子を女性宇宙人は驚愕の目で見つめていた。

?「ウソ!…そんな…、考えられない。」

御幸は女性宇宙人が動揺していることに気がついた。

御幸「あ、あの、どうしたんですか。」

?「…あ、今はあの敵たちを片づける方が先よ。」

そう言って、ふらついた手を上げて、さっと横に振った。すると、すべての光体が徐々に暗くなっていった。


あり得ない状況に動揺したのは光体を繰り出した『ヴョル』に乗っていた船員だった。

?「バカな!光体を浴びて死なない生物など…いるは…う、う、ぎゃあぁぁ。」

断末魔を残しつつ、光はすべて消え去った。


メイ「すご〜い。全部消え〜た…。」

御幸「うん。」

彩菜「空を飛ぶお姉ちゃんがやったの?」

祐樹「すごいや!光をやっつけられるなんて。」

喜ぶ祐樹たちとは対照的に、女性宇宙人の表情は強ばっていた。そして、強く尋ねた。


?「…そんなことより、どういうこと?あなたのその能力は何なの?」

御幸「え?」

そう言うと、女性宇宙人は御幸に向けて、手をかざした。

?「答えなさい!あなたは何者?何が目的なの?」

御幸「…わ、私は何も…。」

?「言わなければ、あんたを倒す!」

御幸「本当に何のことか分からないです。」

?「そう、言わないつもりなのね。それとも、余裕ってこと?…ならば、…言わせるまでよ。」

御幸「え?…きゃっ!?」


女性宇宙人は衝撃波のようなものを放ち、御幸は3メートルほど後ろに飛ばされ、木にぶつかった。

御幸「うっ…、いったぁい。」

彩菜「お姉ちゃん!」

メイ「みゆ〜き!」

祐樹「大丈夫?…何で?」

御幸に寄っていく三者の背後から声が聞こえた。

?「演技してもムダ。どうせ何の『力』も持ってないって言いたいんだろうけど、同族以外の生物と話せるだけでも、この星の生物にできる能力じゃない。…どうしても話さないのなら、今度は他の子を攻撃するわ。」


女性宇宙人の攻撃はあまりに一方的…と言うより、何か焦っているようだった。そして、強く言い切った。

?「あんたが持ってるその能力は、この星の生物には手にあまるわ。そんな『力』が暴走したら、第二の『ガーラ』になりかねない!」


御幸は本当に分からないことばかりであった。だが、何とか痛みをこらえて、足を前に出した。


御幸「…本当に…何も分からないの。どうか、みんなに攻撃しないで…。」

?「じゃあ、すべてを話すの?」

御幸「…それは…、信じてもらえるかは分からないけど…。」

?「そうね。私だって、ムダにあなたたちを傷つけたくないからね。」

メイ「…待つの〜ね!」


急にメイが御幸の前に出てきた。


普段であればワンワンと聞こえるであろうメイの声が、日本語に聞こえている時点で、女性宇宙人の話している内容は正しい。

だが、昨夜の不思議な『出来事』を彼女に話したところで理解してもらえるのか。

そんな御幸の想いに応えるかのように、メイは女性宇宙人に吠え立てた。


メイ「確か〜に、さっきまでみゆ〜きは何の能力もなかった〜よ。何年も一緒にい〜たけど見たこともな〜い。で〜も、その能力のおか〜げで、初めて話せた〜の。みんな生きて〜るの。少しは信じてあげ〜てよ!」

御幸「メイ。」

彩菜「そうだよ。お姉ちゃんはあやなとにんにんを助けてくれたよ。」

祐樹「パパを探してくれるって言ってくれた。お姉ちゃんは僕たちが助ける!」

彩菜も祐樹もメイも必死に御幸の前に出た。

御幸「みんな…。」

メイ「どうしても〜、みゆ〜きに攻撃するのな〜ら、私を狙いなさ〜い。」


そう言われて強引に攻撃できるものはいないだろう。彼女はたじろいだ。

?「…くっ、何よ。あなたたちこそ、宇宙の現状を知らないじゃない!その子が持ってる『力』なんか、私たちのふるさとをすべてを滅ぼした『力』なんか、絶対に認めないんだから!」

そう言うと、女性宇宙人は再び赤く光って、空の彼方へ飛び去っていった。




?「…くっ、話している間にも『光』が強くなってた。今の私では勝てないわ。まずは体を休ませなきゃ。…おねがい!生きてて、ミーシャ。」

心の中でつぶやく彼女には焦りしかなかった。

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