カレーと気付くこと…
御幸「(…あ、ガスとか電気とか、使えるのかな?)」
…そう思った御幸は台所のコンロを回してみた。幸いガスは使えるようで、勢い良くコンロから火が出た。それに炊飯器や電子レンジも無事に使えるようだった。
御幸「(良かった。とりあえずカレーでも作ろう。二人もそれなら食べれるよね。)」
ほっとした様子で作り始めた御幸だったが、この時二つのことに気がついていなかった。
誰もいない世界でガスや電気が使えること…。
実は宇宙から第二波の攻撃が向かっていること…。
…その頃、宇宙空間を非常に早いスピードで移動する二体の生命体がいた。そう、灼熱の星にいたあの二人組の宇宙人だったが、そのうちの一体が急に止まった。その表情は少し驚いたようであった。
レイナ「…待って、ミーシャ!」
ミーシャ「どうした?」
レイナ「…今、微かにだけど反応を感じたのよ。」
ミーシャ「『光生』か。どこだ?」
レイナ「それが、…たぶん『滅びの星』に…。」
不思議そうに言ったレイナはもちろん、ミーシャも納得しない様子だった。
ミーシャ「フン、何をバカな。『消滅砲』が撃たれた『弱い』星に生きている者などいるはずがないだろう。」
レイナ「まぁ、誰かさんが『消滅砲』にやられている間に攻撃を受けた星だけどね。」
『消滅砲』。
それは御幸たちやミーシャたちを襲ったあの光の攻撃で、現時点では宇宙最強の殺戮攻撃だった。その攻撃に生き残ることができるのは、心身ともに実力を持った『強い』者のみ。言い換えれば、たかだか数千年しか繁栄していない『弱い』生命体=人類では防ぎようがなかったのだ。
考えるミーシャを見ながらレイナは皮肉を言い続けていた。
レイナ「あら〜?そう言えば、消滅砲で死にそうになってて『弱って』いましたっけ?」
ミーシャ「…ちっ、いちいち癪に障る言い方をしてくれるぜ。」
苛立つミーシャを見て満足したのか、レイナは挑発した。
レイナ「何なら生きてることに賭けてもいいわよ。賭け金は『手』にしてあげ…。」
ミーシャ「…ん!」
一瞬の隙を突いたかのように閃光が宇宙空間にいた2人を襲った。
レイナ「しまっ…!」
ミーシャ「うわあぁっ…」
二人はあっという間に光に飲み込まれ、吹き飛ばされた。
その先は、地球。
一方、地球では三人の夕飯が終わっていた。
祐樹「はあ。おいしかった~、ありがとう、お姉ちゃん!」
御幸「は~い、2人ともお腹いっぱいになった?」
彩菜「うん!あ、メイと遊んでもいい?」
御幸「うん、いいよ。」
彩菜は元気に隣の部屋でメイと遊び始めた。そんな様子を見ながら、御幸はふと思っていた。
御幸『(お母さんがいなくなって泣きそうだったけど、まだこの子たちに死んでしまったことを伝えるのは…。)』
そんな御幸に祐樹が静かに声をかけてきた。
祐樹「お姉ちゃん。」
御幸「…あっ、ごめんね。えっと、…おかわりする?」
悟られないように質問返しをした御幸だったが、祐樹は核心を突いてきた。
祐樹「ううん、大丈夫…。…あのさ、ぼくのママ、あの光で死んじゃったんだよね?」
御幸「えっ!?」
祐樹「みんないなくなったのも、死んじゃったからだよね?」
御幸は返す答えに詰まったが、祐樹は言葉を続けた。
祐樹「あやなはずっとパパと一緒だったから、ママのことはぜんぜん知らない。だけど、パパが死んじゃってたらあやなは…。」
そう言うと祐樹は口をつぐんだ。見れば、涙を必死にこらえているようだった。
御幸には理解できた。祐樹の涙は母を失った悲しみ、そして、妹の事を幼いなりに考えている兄の悲痛な想いであることを。
もしかしたら正直に聞いてはいけないことかもしれない。
でも、この子たちの力になりたい。
そう思った御幸は自然と聞いてしまっていた。
御幸「もしかして、お父さんとお母さんって、…ケンカしてたの?」
祐樹「え。…あ〜、うん、りこんって言ってた。」
御幸「あぁ、そう。…だよね。」
苗字が違うのはそういうことだと再確認できた御幸だが、だからこそ素直に祐樹を褒めた。
御幸「うん、祐樹君はやさしいね。彩菜ちゃんのことを一生懸命考えて、とっても偉いよ。」
祐樹「え?」
祐樹はなぜ褒められたのか理解できなかった。
御幸「お父さんやお母さんがいなかったら、私には何もできないよ。ホントに。」
御幸は本音のようにつぶやいたが、逆に祐樹には効果的だったようで、照れたように目を泳がせていた。
祐樹「…そ、そうかなぁ…。」
御幸「そうだよ~。…あっ、そうだ!祐樹君、ちょっと手伝ってもらえるかなぁ?」
祐樹「え?」
御幸は今後のことで一つのアイデアが浮かんだのだ。




