表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

第5話

すみません。短いです。

説明回です。

もしかしたら、手直しするかもしれません。

「最近ネットで流行はやりの異世界召喚ものの小説には、「魔王に対抗するため勇者を異世界から召喚する」という理由で勇者を召喚する場合が多いのですが、その勇者に対する扱いに様々なパターンが存在します」


「パターン? というか流行はやりの小説に、異世界召喚ものなんてあるんですか?」


 真央はD型装備の性能に納得がいかないままだが、取り敢えず着替え、今は要や花月と打ち合わせを行っている。


「はい。 最近多いんですよ、ラノベなんかに。 あくまで日本人の作家がプロアマ問わず想像して書いたものですが、けっこうバカにできないんですよ。 異世界を理解するのに参考になるんで読んでいます」


「そうですか、ファンタジーはあまり読まないジャンルなんです」


 要はラノベ片手にうなずきながら話を続ける。


「例えば、召喚した王国の国王や姫などがいい人で、「勝手に召喚して申し訳ない、できる限りの支援や賠償はします」というパターンならば、我々も交渉の余地がありそうなんですが、勇者なんて奴隷も同然と考え、思い通りの結果が出なければ殺してまた召喚すればよいと考えているパターンもあります」


「私の場合はリアルに後者のパターンですね」


 真央はイヤそうに顔をしかめる。


「神崎さんを召喚し、尾崎さんたち捕まえているあの国の上層部の人たちは、まさしく異世界の勇者なんて奴隷も同然でしょう。 我々が日本政府の外交特使として出向いて、我が国の人間を返せと言ってもおそらくまともに相手にされないでしょう。 と言うか我々のことも捕まえようとするでしょう」


「その場合は?」


 真央の不安そうな顔を見て、要は安心するように優しく微笑む。とたんに顔が赤くなる真央。


「その場合は、我々の主張を聞き入れてもらえるように、武力行使もやむなしです」


「ぶ、武力ですか?」


「はい、交渉するにあたって、まず力を見せつけて同じテーブルにつかせることが必要です。そのための許可を、組織が新設されるときに政府に出させました」


「私が気にするのも変ですが、良いんですか、武力行使? よく許可が出ましたね?」


「ちょっと話が横にそれますが」と前置きして要は日本政府の現状を話す。


「政府は国民に拉致の犯人は異世界の国だと伏せています。理由はまあ色々ありますが、そもそも日本で謎の失踪事件が頻発するもっと以前から、政府は異世界の情報を掴んでいました。というのも自力で戻ってきた数人の異世界帰りや、逆にこちらの世界に渡来した異世界人などを政府は保護ていたからです。ただ、いくら事実とはいえ、この失踪事件を異世界国家の召喚による拉致と公表する勇気は、日本政府にはありませんでした」


「まあ、そうですね。いきなり政府の偉い人が、異世界だの召喚だのと言い出したら頭の中身を疑われるのは間違いないですし」


「ですが、異世界のことであったり、そこに召喚という名の拉致被害者がいることを知りながら、政府は何の手も打たなかったと国民に知られると責められるのは必定です。そこで政府は、異世界ということを秘密にしたまま拉致された人々を救い、国民には「どこそこのならず者のテロ組織が企んだ、大規模拉致事件でしたが、何とか無事解決しました」というシナリオで発表したいのです」


「うーん、それはなんというか……」


「気持ちは分かりますが、すでに何名かの被害者を奪還して、何件かは公式に「テロ組織が企んだ大規模拉致事件」で発表していますし、国民もまあ納得しています」


 真央が微妙な顔をしていると、要も微妙な顔で同意する。


「で、政府としては召喚拉致の被害者奪回は勿論、その奪回方法も拉致を行った当該国と話し合いで穏便に解決して欲しいそうです。 現場からすると正気かと問い正したい気分なんですが、政府の言い分としてはもし強引な手段をとったことが国民にバレたら、マスコミやTVのワイドショーで訳知り顔のコメンテーターが騒ぎ、ネットも政府批判がうるさいから、だそうです。 マスコミ等にとっては交渉相手が異世界国家だなんて知ったことじゃありませんから。 私も日本政府は問題だらけだと思いますが、なんでもかんでも批判するのは違うと思いますので、政府のマスコミなどの対策には同情する部分もあります」


「でもそれじゃあなおさら武力行使はできないんじゃ?」


「以上を踏まえた上で、私たちの組織はこれまで何件もの奪回作戦を行ってきました。 そして出た結論は」


「結論は?」


「結局のところは、バレないようにやればOkじゃね?です」


「えぇぇぇーっ!?」


 要は言葉が雑すぎると思ったのか捕捉する。


「素直に我が同胞を返せと言って返してくれればよいのですが、ここは異世界です。多くの場合、異世界では命の軽重が現代日本とは全く違います。すぐに人が死ぬ世界が多く、その世界の住人に我々の常識は通用しません。弱腰と判断されれば、相手はこちらを侮り襲い掛かってきます。圧倒的な武力を見せねばこちらが危ない。という訳で結論は、誘拐犯を匿うならず者国家にはこちらの力を見せつける。おそらくそれからが本当の交渉の始まりでしょう。交渉と武力による圧力の両方で行きます」

次回はいよいよ敵の城に乗り込む……かも?


お読み頂き、ありがとうございます。

感想をお待ちしています。誤字脱字・矛盾などのご指摘はなるべく優しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ