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プロローグ「誰かの独白」
――私は見たのです。
滅びた世界に一人、騎士が佇んでいるのを。
剣は折れ、護るべきものを失ってなお尽きぬ憤怒の情を胸に、刃を振るうその姿を。
その騎士はあまりにも脆く思えました。
想い人をその手にかけ、護るべきものを自ら踏みにじった騎士は、もう何も見えていません。
私の声も聞こえていないのでしょう。
騎士はただ、刃を振るうだけ。
苦しいでしょう。
悲しいでしょう。
悔しいでしょう。
恋しいでしょう。
でももう全てが手遅れです。
その手にはもう何もありません。
あなたが護りたかったものは砕け散りました。
あなたが想った人は物言わぬ骸になってしまいました。
あなたが目指した夢はもはや、過去にしかありません。
後悔しましたか。
あなたが選んだ道を。
懺悔しましたか。
あなたの咎を。
ならば願いなさい。
せめて夢の中だけでも、その想いを告げる未来を。
願いなさい。
ある筈だった、もう1つの未来を。