巨大魚とENCOUNTER
「ひゃほぉ~い!!」
「こら~、あまり離れるな~!暗くて転ぶよ」
「みてよ、あっちのほうがなにか輝いてる!」
今現在、壁を走れるようになって有頂天になり、壁を全力疾走してる響を、雪とドミニエルが追いかけている。
「待って……。そろそろ限界……ってあれ?」
雪が走っていくと、響が洞窟の真ん中で立ち止まっている。
少ししてドミニエルも追いつく。
響の立ち止まっていた先には、"ライト"も必要ないほど明るく輝く湖があった。
「これ……は?」
「ルフノ湖と呼ばれる場所だよ。ここは、湖の底にシペスという石が沢山あってな。その石が淡蒼色に発光するのでこの湖はいつも明るいらしい。私もここまで深く潜ったことはないのでな、聞いた話だったが……。これは、洞窟の中とは思えないほどに明るいな」
「本当に幻想的!カメラが無くて残念だなぁ」
「かめら?」
「ああ、まぁ、風景を残すことのできる道具ですよ」
「そんな便利なものがあるのか。私も使ってみたいものだ」
「このせk……じゃなかった。この辺りにもあるのかな?」
「私は見たことがないな。そんな便利なものがあれば私は使っている。王都くらい大きな街ならあるかもしれないが」
「行ったら、探してみようよ!」
「いいね」
「その話はここまでにして。ここを調べてみよう」
そういうと、ドミニエルは湖に近づこうとした瞬間
ザバアァァァァ!!
大量の水飛沫と共に、巨大な魚が出てきた。
天井高くまで飛び上がると、たまたまそこにいた哀れなイツラ・フロッグを丸のみして、再び大きな水飛沫を上げて、湖へ戻っていった。
「おっき~い!」
「あれが原因か?。しかし、ここにこんな巨大魚がいるなんて聞いたことがない」
「あんなにでっかい魚初めて見ました」
「ん?これほど大きな魚が住んでいるなんて聞いたことがない。詳しくあの巨大魚のことを調べたい。ユキ、あいつを捕獲できるか?」
「まっかせて!次出てきたら捕まえてみせるよ」
待つこと数分……
「来ないねぇ~」
「来ないなぁ」
「ふむ、なにか刺激してみるか」
「じゃあ、響、天井走ってみてよ!さっきの蛙みたいに」
「いやだよ!」
「絶対に危険にしないから!」
「う~ん、絶対に捕まえてよ?」
「約束する」
「はぁ~、わかったよ。[壁脚風]!」
そのまま響は天井へ飛び移り、天井を駆けた。
すると、再び湖の水面に水泡が浮かび、巨大魚が姿を現した。
「雪!早く!」
「わかってるよ"パラライズ"」
すると、巨大魚はピクッっと一瞬痙攣し、口を開けたまま、響を丸呑みすることなく落下した。
「こちらへ持ってこれるか?」
「任せて、"ウインド"」
落下する巨大魚を風で受け止め、目の前に運び、地面に下ろす。
初級魔法でこんなむちゃなことも平然とやってのける雪。
「じゃあ、すこし詳しく見てみるか」
体長3メートルもある巨大魚を調べ始め、ドミニエルはあることに気がついた。
「こいつはもともとこんなに大きかったわけじゃなさそうだな」
「どういうことですか?」
「こいつはもともとこの湖に住んでいた雑魚だ。なんらの影響を受けて巨大化し、その巨大な体を保つため肉食へと進化したようだ。しかも……ごく最近な」
「巨大化ですか」
「そんな魔法があるのかな?」
「いや、人為的なものとは考えにくい。この巨大魚の処分は一時保留にしておこう。ほかの生物を食べないよう一時的に処置をしておくか。なにか元に戻せる方法もあるかもしれん」
雪は、"パラライズ"をかけたまま、湖へと巨大魚を帰した。
響一行は巨大魚の謎も解明するために再び洞窟の奥へと進んだ。
読んでいただきありがとうございます。
次話でも謎解明のための探検が続きます。
次話もお楽しみに。