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武器屋へGO

 大会も終わり、その夜、久々に2人でゆっくりと下手で話し合うことができた。


「そういえば、前にこの世界がゲームのはずなのに、なぜ痛みを感じるんだろうって話をしたよね」

「そういえば、言ってたね。私もあまり深く考えてなかったけど。ここ最近楽しすぎて」

「てか、ログアウトもできないじゃん。現実だとどのくらい時間経ってるの?体は大丈夫なの?」

「う~ん。もう言っちゃおうか。実はね……」

「なんか、嫌な予感しかしないんだけど」


 雪は少し躊躇ったあと、踏ん切りをつけたように自分の足をバシッっと叩いた。


「あの機械、実験機体なんだよね。お兄ちゃんの」

「どんな?」

「異世界への転移装置」

「え?なんだって?」

「だ、か、ら、異世界への転移装置」

「何言ってんだ?」

「ほんとなんだってば!どんな世界に飛ぶかはわからなかったらしいけど」

「え?あの説明書に書いてあったものは?」

「お兄ちゃんがデタラメに書いた、響を釣るための餌」

「言い方酷いな……」

「でも、いくつかは合ってたみたいだね。ユニークスキルとか、魔法世界とか」

「なんで僕を道連れに?」

「旅は道連れ世は情け的な?」


 幼馴染というだけで、特に意味はないようだった。


「帰る方法は?」

「諦めて」


 雪もまさか帰る方法がないとは知らなかったようで、以前に色々試してみたが、帰る方法はわからず、諦めるしかないという結論に至った。


「ひどいっ。家族に何も言ってないよ?」

「この世界が嫌い?」

「いや、ゲームみたいで好きだけど。てか、もっと居たいけど」

「ならいいじゃん!」

「帰れると思ってやるのと、帰れないと思ってやるのとでは全く違うじゃん!」

「まぁ、元の世界に帰る方法くらいあるでしょ?魔法の世界だし!じっくり探そうよ」

「え~、しばらくは帰れないのか……」

「そういうことだよ。わかった?」

「わかったじゃないよ!」

「てへっ!」


 とぼけるようにいう雪。


「殴ってもいいかデスカ?」

「女の子を殴るの?サイテー」

「本気にしないでよ」

「知ってた」

「はぁ……、変わらないなぁ。そういうところは……」

「じゃあ、状況を整理してみる?」

「そうだね」

「まずは、ユニークスキルってなんだったの?」

会得(ラーニング)なんだけど、ドミニエルさんのユニークスキルをセイバーで触れたとき、頭の中にセイバーが炎を纏うイメージが浮かんだんだ。それが、鮮明になったとき、[火焔刃]というユニークスキル名が浮かんだんだ。それを口に出した途端。浮かんだイメージ通りにセイバーに炎が纏ったんだ」

「それ以外にも変わったこととかは?」

「単純に筋力とかも上がったみたいだった」

「前だったら、ドミニエルさんと力比べで張り合えるわけないもんね」

「まぁ、そうなんだよね」

「ユニークスキル名からも考えると、相手のユニークスキルを真似できるみたいなスキルなのかな?」

「そんな感じだろうね」

「ほかのも試してみたいね。私のユニークスキルはどうなんだろ?」

「たぶん、できないと思う。感覚的なものだけど」

「やってみようよ」


 雪はシュニースティックを装備して、スキル名を口に出した。


「ウェポンワークス/アクア/フリーズ/ソード/エンド」


 すると、雪の前に氷でできた剣が現れた。


「前よりもすごいね。氷の剣か」

「形はかなり単純なものになっちゃうけどね、もっと修行しないと」

「ちょっと触ってみるよ」

「うん」


 雪の作った氷の剣の峯に触れてみる。

 

 …………


 何も反応がなかった。


「あれ?」

「反応ないね」

「なんでだろう?」

「わからない。う~ん、もっと判断材料が欲しい」

「まぁ、後々また試してみようよ。ほかのスキルでさ」

「じゃあ。これからどうする?」

「お金は手に入ったし、装備を整えたいよね」

「そうだね。ロディに相談して、武器屋教えてもらおうよ」

「いいわね、聞いてみましょう」




 リビングにいたロディは本を読んでいるようだった。


「ロディさん、この街に武器屋ってある?」

「ありますよ。手軽なものから高価なものまで揃っている武器屋さんがあります。ただ、高価なものは王族か、王族に認められた人しか買えないようなんですが。明日行ってみますか?私もそっちの方面に用事がありますので」

「ロディさんがいいのなら、すぐに行きたいな」

「じゃあ、明日見に行くのね」

「わかりました。案内します」

「ありがとう」

「ありがとっ、ロディちゃん!」


 その後は、昔の話をしながら、いつの間にか寝てしまっていた。




***次の日***


 朝早くドミニエルは家を出たようだった。


 響たちは朝食を食べ、ポッケに白金貨を入れ、家を出た。

  



「この店ですよ」

「おお~」


 街の一角に、ほかの店の4倍ほどの敷地面積をもつ店があった。

 マドロディは用事があるようで、お礼を言って見送った。


「入ってみようよ!」

「そうだね」


 中に入ると、壁を埋め尽くほどの武器がジャンルごとに並べられている。

 2階には防具が並べてあった。


「この階かな?」

「みたいだね」

「色々あるね、鎧も重いのから軽いのまで、色とか素材とかも豊富だね」

「これだけあると、何がいいのかわからないね」

「店員さんに聞いてみようよ」

「それがいいかなぁ」


 雪が店員を呼んできた。


「どんな物をお探しでしょうか?」

「2人分の装備を一式揃えたいんですが」

「なにかお好みはありますか?」

「できるだけ軽いものがいいです。雪はどうする?」

「私も軽いのがいいかな?」


 そこで、響は装備に追加効果があるものが存在することを思い出した。


「装備に追加効果が付与されているものってありますか?」

「ありますが、安いものでも白金貨1枚からとなります。なかなか入荷できるものではないので。御予算はいくらくらいでしょうか?


 後のことも考えて、金貨2枚は手元に残して置くことにする。

 雪にも相談し、それでいいとのことだった。


「じゃあ、予算は金貨8枚くらいで」

「わかりました。ご予算内で御用意しましょう」


 装備を見繕ってもらっている間に店内を見回ってみる。


「これが魔法効果が付与された防具か」


 説明には、炎・水・闇属性に対する抗魔力が付いており、さらに、魔法により見た目よりもかなり軽くできているらしい。お値段、白金貨5枚。


「すごい値段だね」

「手が出せそうにないね。こんなにお金貯まるのいつになるんだろうな」

「いつか貯めたいね」


 そんな話をしていると、店員が装備揃え終わったようだ。


「見繕ったものはこちらになります」


 装備一式を着た人形が2体並んでいた。


「響さまのものから説明させてもらいます。まず、鎧の方ですが、軽装備ということでナルルという牛型モンスターから剥ぎ取った革で作ったナルルアーマーでございます。このナルルの革を加工すると刃物でもきれないほど丈夫なものになります。要所も強化されております。次に……」


 などなど、響たちは店員の丁寧な説明を聞いた。


「という装備なのですが。なにか質問や要望はありませんか?」

「大丈夫です。とても良い装備です。雪はこの装備でいい?」

「うん。私はこれで問題ないよ」

「では、少しお安くして合計で金貨8枚になります」


 響たちはお金を店員に渡し、武器屋を出た。


「どうしようか、まだ昼過ぎくらいだけど」

「じゃあ、冒険に必要なものでも買いに行こうか」




 街で冒険に役に立ちそうな即効性のある薬や携帯食料などを買って、夕方に帰った。

 家に帰ると、ドミニエルはまだ帰ってないようだった。


「あれ?ドミニエルさんは?」


 響が夕飯の準備をしていたマドロディに尋ねた。


「まだ帰ってきてないみたいです。久々のご友人との再会なので、多分遅くなるとおもます」

「ありがとう」


 そういうと、雪が夕飯の手伝いを始めた。こうして見ると、仲の良い姉妹のようだ。





 夕飯をみんなで食べたあと、話をしていると、ドミニエルが帰ってきた。


「ただいま。今帰った」

「「「おかえりなさい」」」

「3人ともここにいたのか。ちょうどいい。ヒビキ、ユキ、話がある」

「僕のユニークスキルのことですか?」

「それも気になるが、この前遭遇したモーナット・グリズリーのことだ。あいつがあの場所にいた事が気になっててな。あの洞窟をもっと深くまで探検してみようと思う」

「わぉ、楽しそう!」

「いいですね。僕も行ってみたいです」

「じゃあ、決まりだな。準備のために明日装備を整えに行くか」

「あ、今日行ってきました」

「おお、早いな。どんな物を買ったのだ?」


 響と雪はステータス画面から、今日買ったものがわかるように見せる。


「なかなか自分にあった装備を買ったな。いい買い物だと思う」

「ありがとうございます」

「じゃあ、準備は大丈夫そうだな」

「ばっちし!問題ない!」

「では、明日出発だ」



******


 倉庫街で2人が戦っていた。いや、戦いというよりは一方的な暴力のほうが近いかも知れない。

 最初、互角に戦っていたものの、不意を突かれて発動されたユニークスキルの植物に足を取らた。足を取られた男は炎魔法が使えないため、植物を焼き払うこともできない。必死で解こうと足に力を入れるものの、全く動かない。そうしているうちに、手にも植物が絡み、貼り付けにされたような状態になる。

 カッ、カッっと倉庫街に足音を響かせ、謎のフードの男が近づいてくる。


「さて……今度こそ目当てのものか」


 そのおぞましい雰囲気に必死に体を捻って脱出を試みるが、四肢に絡みつく植物はビクともしない。


「ひぃ……」


 フードの男の手が心臓辺りに触れる。


[強奪(ゲッタビリティ)


 心臓まで腕が沈み、その手で心臓を握り締める。


 手に入れたスキルを見て、それが目当てのものじゃないと知ると、興味をなくしたようだった。


「……外れか」


 フードの男は、その場に亡骸をその場に残し立ち去った。

 読んでいただきありがとうございます。


 投稿が遅くなってしまいました。

 次話からはペースを上げていきます。

 

 次話は洞窟の探検となります。響がついに活躍できます!

 次話もお楽しみに。

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