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対決!LUNCER

 いよいよ準決勝となり、会場は大いに盛り上がっている。

 観客の数もかなり増え、リングの回りを埋め尽くさんとしている。



「どうやら次の相手はランスを使うようだ。その一撃の破壊力は侮れない」

「早く、重い一撃ですか。なにか対処法はありませんかね」

「とにかく避けるしかない。私もランスを使う者との戦闘経験がないのでな。そもそもランスはこの国ではあまり使う者がいないのだ」

「僕の相手って珍しい攻撃方法する人多いんですね」

「そりゃそうでしょ?みんなと同じ戦法だったら対策されてて勝てないし」

「その通りだ。上位に入るものは珍しい戦法を使うものが多い」

「なるほど」

「まずは相手の動きを見ることが大切だ。そこから突破口を探すのだ」

「わかりました」

「響、頑張ってね!」

「おう!じゃあ行ってくるよ」

「勝って、決勝で会おう」

「はいっ!」




 準決勝戦 

 

 響がリングへ上がると歓声が沸いた。

 続いて対戦相手のサイラス・ランドールがリングへ上がり、両者が揃ったことで盛り上がりは最高潮に達した。


 サイラスは高身長ながらも全身はしまっており、無駄な筋肉はない。髪も短く好青年という言葉が一番しっくりくるだろう。


「私はラクシュミル王国筆頭騎士サイラス・ランドール。今回は我が実力を試すために今大会へ参加した。それに伴い我が愛武器は祖国へ置いてきました。今回はこの槍のみで戦わせていただきます。それに魔法、スキル、一部の槍技は使いません」


 サイラスの持っている大槍はは全く装飾もされておらず、シンプルな作である。しかしその大きさはサイラスの身長と同じかそれ以上だ。


「なぜそんな縛りを?」

「簡単なことです。筆頭騎士が全力を出して負けたとあっては国の沽券に係わる」

「なるほど。だから制限付きで戦うと」

「それだけではありません。無闇に全力を出してしまうと、どこに敵がいるかわからない。敵に情報を流すわけにはないかないでしょう。ですが、そなたは手を抜く必要はない。それは本意ではありません」

「わかりました。全力で行かせてもらいます」




 そこへ話しが終わったと判断した審判がリングへ上がった。


「両選手、準備はよいでしょうか?」

「大丈夫です」

「問題ないです」

「わかりました。両者構え」


 響は背中からセイバーの柄を取り出し、魔力を流し込み、それを中段の構えを取った。

 サイラスは大槍を斜めに構た。その姿は筆頭騎士の名に恥じぬ気高さを感じる。


「用意、始め!!」


「うぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」


 開始の合図ともに観客のテンションも一気に上がった。


「先手は譲りましょう」

「ならば遠慮なく」


 そういうと一気に駆け出し、初撃を放った


 キンッ!

 両者の武器が交差し、甲高い音が響いた。


「ほぅ、俊敏性だけなら私より優れていますね」

「くっ、どう……いたしまし……てっ!」


 力勝負では圧倒的に不利だと判断した響は、なんとか距離を取った。


鍔迫(つばぜり合いになると相当不利のようですね」

「さぁ、どう出ますか?」


 余裕な表情のサイラスは一歩踏み込んだと思うと、大槍のリーチを活かして連続突きを繰り出してきた。

 さらに攻撃の合間に足払いもするためかなり厄介だ。


「わっ、たっ、たった」


 それを全力で回避しようとするが、数発に1発は当たってしまう。


「ほぅ、それだけ躱すとは……。我が国の兵にほしいくらいですね」

 

そう言ってもらえるのは嬉しいけど、正直交わすので精一杯だよ




「それ、まだまだゆきます!!」


 ヒュッ ヒュンッ ヒュンッ チッ


 体のすぐ傍を槍が掠めていく。


どうする……このままだと防戦一方だ……


 そうしているうちに体力で劣っている響が反応しきれなくなってきた。


「くっ、やはりかなり強い」

「いや、そなたもかなり強いと思います。が、経験の差がある。私はいくつもの戦闘の中でどうすれば私に有利になるかを知っている。ただそれだけです」

「だが、まだ諦めません!!」

「ほう、その心意気やよし、私も今できる全力を出しましょう」


……なにか勝てる方法がないだろうか?


「体力がなくなってきましたか?さっきよりスピードが落ちていますよ?」

「はぁ……はぁ……、まだ……終わってません」

「かなり息が切れています、実力はそんなものですか?」

「まだまだ」


冷静になれ。どこかに突破口はないか?


「どうですか?私の国の兵になる気はないですか?私から推薦いたしますよ」

「嬉しいですが、まだやりたいことがありますので」

「それは残念です。兵の練習でなら私の武器を使ってまた戦えると思ったのですが」


私の武器……あっ……そうだ……今使っている武器はサイラスさんの愛用の武器じゃない……ならば……なにか弱点はないだろうか




 響は全力で距離を取った。

 

「ここでまた距離を取りますか。何を企んでいるか分かりませんが、これで終わりです」


 響は全神経を尖らせ、自分の向いている大槍の先端に意識を向けた。

 瞬間全ての動きがスローに見えた。


 そしてあることに気がついた。


僅かに槍頭と柄の接合部分に1mmほど補強漏れ箇所がある……そこを狙い撃ちできれば


 ギリギリまで大槍を引きつけ、補強漏れの箇所めがけてセイバーを突き上げた。


 カーンッ 


 一段と甲高い金属音とともに、槍頭だけが空中へ舞っていた。


「ほう、よくこんな芸当ができましたね」

「あなたは運が悪かったようです。その大槍には補強さされていない部分がありました」

「いや、これはそういう風に作らせたものです。自分への枷として。ですが、これを見破るものがいるとは」

「いいえ、本来のあなたの武器ならまず勝てなかったでしょう」

「今はそうかもしれない。ですが、そなたはいずれもっと強くなれるでしょう」

「そうなれたら本気のあなたと戦ってみたいです」

「はい。そうなれることを私も望みます」



 そう言って、サイラスは手を挙げ

「私の負けです」

「わかりました。サイラス選手のギブアップにより、ヒビキ選手の勝利!」



 ウォォォオオオオオオオ!!!!


 こうして響は決勝へと駒を進めた。

 読んでいただきありがとうございます。


 響は相手に合わせて話し方を変えます。

 次話ではドミニエルの準決勝戦です。

 どんな相手とどんな戦いを広げるのか?


 次話もお楽しみに

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