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主人公達とキノコと何か

オリキャラ主人公ものだと思った?残念!あくまでもメインは幻想少女でした……。



 足に響きそうな石段。色が少々剥げている鳥居。御手洗に賽銭箱。日本人ならここからある一つのイメージへと結びつくはずだ。

 そう、神社である。


 明治時代の日本から切り離された幻想郷にもいくつかの神社があり、ここはそのなかの一つ。名前を博麗神社という。


 ここには神主がいるわけでもなく常時とある巫女の手によって管理されている。しかし、里から離れているのと妖怪がいるとの噂によって参拝客はあまり来ない。


 ちょうど今その巫女が竹箒を持ち出して落ち葉掃きの真っ最中だ。年齢は……女子の年の頃を計るのは難しいので、とりあえず少女と言っておこう。大人びているようにも幼いようにも見える。幻想郷の人間ならではだろうか。  


 腋を露出した特徴的な巫女服に身を包み、頭のリボンを揺らしながらしばらく続いている単純作業に精を出している。

 今日の幻想郷は晴れのち晴れ。掃除にはうってつけの快晴である。


「あー、なんで春なのに落ち葉掃きなのかしらね」

 文句をたれながらも落ち葉を一ヶ所に集め、額の汗を拭う。


「あとは塵取りっと」


 彼女が塵取りを持ってこようと落ち葉の山に背を向けたその瞬間、


「霊夢ー! 邪魔するぜ!」

 威勢のいい声とともに、上空から箒に跨がった何かが猛スピードで垂直降下してきた。この際正体は問題でない。着地時に落ち葉の山を吹き飛ばしてしまったことの方が由々しき問題である。


「あぁ、落ち葉掃きしてたのか。すまんすまん」


 スカートを払いながら姿を現したのは、白と黒の衣装にいかにも魔法使いな帽子をかぶった少女。落ち葉掃きの巫女と同年代と思われる。言葉から察するにたいしてすまなくは思っていないようだ。


 一方、霊夢と声をかけられた巫女は額に青筋を浮かべて振り返った。マジでキレる五秒前。とさかにきてしまっている。


「だいたいあんたはいっつもいっつもそうやって……」

 巫女が魔法使いを叱っている間にこの二人について説明しておこう。


 神社の落ち葉掃きに精を出していた紅白の巫女は博麗霊夢という。この神社を一人で切り盛りするやり手の巫女というといくらか聞こえがいいかもしれない。異変と呼ばれる事件が起きたとき、妖怪を退治するアグレッシブさも併せ持つ。

 大きな意味での主人公でもある。


 白黒の魔法使いは霧雨魔理沙。霊夢と同じ普通の人間なのだが、実家を飛び出し独学で魔法使いになってしまった恐ろしい子である。彼女も大きな意味での主人公。霊夢とともに異変の解決に臨むこともしょっちゅうである。

 現在は魔法の森で魔法の研究の傍ら形だけではあるがある店を開いている。


 巫女や魔法使いというどこか社会の喧騒から離れた単語に貴方は違和感を覚えるかもしれない。しかし、この幻想郷はなんでもありの世界。先ほどの魔理沙のように空を飛び、これから先勃発するであろう不思議な力を用いての弾幕ごっこなど日常茶飯事なのだ。

 幻想郷が我々の常識が通じない場所だというのは理解いただけただろうか。そろそろ霊夢から魔理沙への説教が終わりそうなので物語に戻ろう。


 魔理沙が乗ってきた箒で落ち葉をやっと集め終えた。二人でやると早いものだ。


「それで、今日は何の用なの? 湖でも凍った?」

 これが全くの冗談でないのが幻想郷クオリティ。それをしそうな者に心当たりがないでもない。

「まさか。今日はちょっとした売り込みなんだ」


「売り込み? あんたは商売する気ないでしょ。爆窃とか巷では呼ばれてるらしいし」


「ば、爆窃……それもありだが、私は皆からただ単にものを借りてるだけ。返すのがちょーっと遅いが」


「本題を言いなさいよ。弾幕ごっこなら落ち葉掃き終わってからね」


「いやいや。それも面白いけど。さっき家の近くでこんなものを見つけたんだ。ちょっと食べてみようぜ?」


 魔理沙は懐からカラフルなキノコを取り出す。色合いからみて、食べるな臭がとてつもない。第六感に何かが訴えかけてくるような感覚をおぼえる。よほど食べ物に困っていなければ食べる必要はないに決まっている。


 もちろん霊夢は顔をしかめる。

「こんなの食べたくないわ。なんだか笑いが止まらなくなりそう」


「笑うことは科学的にとてもいいことなんだって本にあったぞ」

「魔法使いが科学を信仰するようじゃ世も末だと思うけどね」

「魔法とは科学とともにあるもんだ」


 俗にいうワライダケを警戒しているようだ。毒キノコにはもっと恐ろしい毒を持つものもあるのに、なぜピンポイントでワライダケなのか理解に苦しむ。


「なんだなんだ? 博麗の巫女も情けないな。じゃあ、私が毒味してみよう」


「やめときなさいよ。あっ手遅れか」

 魔理沙が一つつまんで口に。魔法使いとして魔理沙はキノコの研究も行っている。つまり、食べてみて毒の有無を確かめているのだ。なんという体当たり。


「ふぅ、なかなかいけるな。いくつか置いてくからよかったら夕飯にどうだ? じゃ、失礼するぜ」 


 キノコを頬張った魔理沙は来た時と同じように箒に跨がって去っていった。ご丁寧に集めた落ち葉をまた吹き飛ばして。


「……」

 嵐のような来客と再びの落ち葉掃きに言葉のない霊夢だったが、仕方なく作業を開始した。


「魔理沙が食べて平気だったんだからこれはセーフね」


 カラフルキノコをかじりつつの落ち葉掃き。なかなかオツなものだ。霊夢はなんとなく楽しい気分になった。不思議と笑みがこぼれる。



 その夜。博麗神社と魔法の森にある霧雨魔法店から狂ったような笑い声が夜通し聞こえたのことだ。

都合上オリキャラも出さざるをえなくなると思います。というか出ます。


異変の前にいくらか日常の小咄をやろうかということでこうなりました。


次回のお話からはなんだか館の臭いがします。

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