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お兄ちゃん?


―――はぁ…すぐ手がでちゃうあたしってどうよ?


「女としていかんでしょ…ってなんでこんな落ち込んでんのあたし?」


あのあと、四人でファミレスに寄っていつものように、食べておしゃべりして過ごした。

あたしだけみんなと帰る方向が違うので、一人家までの道を歩きながら何故か今日の反省をしていたのだ。


「いつもと変わりないはずなのになぁ…」


「ぉ~ぃ、ゆみ~!」


「ん?」


誰かに呼ばれている気がしたので辺りを見回すと、見知った顔の男の人が駆け寄ってきた。


「あ!セイヤじゃん!お疲れ、今帰りなの?」


「おう!お前も今帰りか?」


「うん!さっきまで友達とファミレスでしゃべってたんだ~」


東征哉あずませいや

近所に住んでる四つ年上の幼馴染。親同士も仲が良くてよくセイヤの家に遊びに行っていた。

兄貴肌なのか、面倒見がよくて本当のお兄ちゃんみたいにあたしのことを気遣ってくれてた。家族と同じくらい大切な人である。



「お前~いくら気が強いからって夜道を女の子が一人で歩いてちゃ危ないだろ?」


こうやっていつも気にかけてくれて、さりげなく家まで送ってくれるのだ。


「大丈夫だよ~あたしみたいなの襲うような人なんていないって!」


「まぁ、そうだな!そんなアホがいたら見てみたいぜ!ははは!」


「どういう意味よ!」


軽く笑って見せながらも、内心では本当に心配してくれているらしい。


一度あたしが男の子達と遊んで怪我をして帰ってきたとき―――自分で転んだだけなんだどね―――すんごい剣幕で『怪我させたのは誰だぁ!』って怒鳴り散らしてたことがあったんだよね…


まったく、過保護なんだから…



「日が長いからってあんま遅くまで出歩くなよ」


「うん、気を付ける!いつもありがとね!」


「おう!じゃあおばさんたちにもよろしくな!」


手を振り歩くセイヤを見送って、家の中に入った。


「ん?そういやなんかあたし悩んでたっけ?…ま、いっか」


それがいいのか悪いのか、この時のあたしには知る由もなかった。

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