ヒーロー登場?
そこには、走ってきましたと言わんばかりに肩を上下させて息を整えているケントが立っていた。
---な、なんでケントがここに?
そんな私の怪訝な顔をどう勘違いしたのか、ケントの顔はみるみる険しくなっていった…
「おい!真田を離せ!」
「は?何だお前?ゆみに何か用か?」
「『ゆ、み』だと?」
一段と低くなったケントの声にびびりつつも何故ここにケントがいるのか未だに理解できない私は、ただ見つめることしかできなかった。
「ゆみの知り合いか?…っ!まさかこいつにつけ回されてたとかか!?」
「へ?」
突然意味のわからないことを言い出す征哉に顔を戻すと、何故だか征哉も顔を顰めていた。
「いい加減真田から離れろ!」
「は!ゆみは渡さねーよ、ストーカー野郎!」
「ストーカー?それはお前じゃないのか?真田を泣かせやがって!」
「あ?やんのかガキ?」
「上等だこの野郎!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
いい加減不穏な空気に気づいた私は止めに入ろうとするが、すでににらみ合っている二人には聞く耳を持っていないようで、一触即発の空気が流れている。
「ゆみは黙ってろ。俺が退治してやる!」
「馴れ馴れしく呼んでんじゃねーよ!」
「二人とも聞いてよ!」
---な、なんでこんな睨みあってるの?
征哉は私をかばうように立ち、その向かいにはケントが険しい顔でなにやら構えた格好でいる。
---ど、どうしよう…
この状況をどう鎮めようか考えいると二人が同時に動き出した。
『オラっっ!!』
「ちょっと待ちなさい!!!」
---へ?
どこからか聞こえた二人を制止する声。それと同時に本当に二人がピタリと止まったのだ。
「え?何?何が起こったの?」
「大丈夫?ゆみ、泣いてるの?誰が泣かせたの?もしかして…コイツ等?」
---え、誰?この黒い人?
前半は確かにいつもの可愛い声だった…後半はスッと冷気が刺すような空気が一瞬にしてやってきた。
目の前にはいつもの可愛い顔を悲しそうに歪めて私を心配した目でのぞき込んでくる…えーっと、今のはあけみさんですよね?




