女ってやつは…
**ケントside**
「最後まで聞けっつうの…」
あっという間に体育館から出て行ってしまった真田に俺のつぶやきは当然届くはずもなかった。
―――というか何で橘と付き合ってることになってんだ?
とりあえず授業が終わってからでも確認しようと思い、俺は校舎に向かった。
******
授業が終わって、即行で彼女のもとに駆けて行ったタカを見送っていると背後から異様な空気が漂ってきた…
「ちょっとケント!ゆみに何言ったの?」
「…は?」
―――いや、それはこっちのセリフな気がするが?
何で俺が怒られてる…というか睨まれてるのかわからない…昨日のことが原因かとも思ったが、違うようだ。
「聞いてるの?」
「だから何のことだよ。俺は何も言ってねぇし、言う前に逃げられた」
俺は事実そのままを述べたのに、まるで聞いてないようで…
「ケントから聞いたって言ってたわよ!何て言ったのよ!」
―――どうしてこう女は話を聞かねぇんだ…
「だから、本当に何も言ってねぇって」
「ん?どういうこと?」
やっと俺の言ってることが理解できたのか、話がかみ合っていないことに気づいた橘が難しい顔をしていた。
俺は真田との今朝のやり取りをありのままに伝えると、今度は何かを考える仕草をしていた。
「人の話も聞かずに勝手に納得しやがって…」
話し終えて一言愚痴る。
「んー誤解したとしても何で逃げるようなこと……!は、はーん…」
「え?何その顔?」
何か思い当る事でもあったのかと思った次の瞬間には意地の悪そうな笑みを見てゾッとした…
―――な、なんだ?寒気がするが…
「イイコト思いついた!ケント、悪いようにはしないから私の言うとおりに動いてくれる?ふふふ…」
意地の悪い笑みを張り付けて、お願い…というより、まるで有無を言わせないとでも言うように圧力を掛けられている気がする…
…そりゃ従うしかないじゃないか。




