やっぱ無理だよ…
全速力の結果、講義にはなんとか間に合った。
問い詰めたそうにしているあけみだったが、先生もすぐに教室に入ってきたため「ごめん」と一声かけるだけで授業は始まってしまった。
そして、終わって開口一番にあけみが切り出した。
「もう!朝からどこ行ってたのよ!」
ちょっと…いや、かなりおかんむりである…
勢いに押されて顔がひきつってしまった。
「ご、ごめんって。ちょっと早く来ちゃったから体育館で遊んでてさ、あはは…」
「…それでどうして裏庭なのよ?」
「えっと…」
あけみは納得いかないというように難しい顔をしてこっちを見ている。
「そのー、講義まで時間あるなーって思ってふらふらしてたら裏庭のベンチ見つけて、うっかりうとうと寝ちゃってたの。あはは…」
―――ケントから逃げましたなんて言えないし…
「何やってんだか…もうー昨日の事報告しようと思ったのに…」
―――ズキッ
少し照れたように、気恥ずかしそうに言い出そうとするあけみを遮って
「あ、それならケントから聞いたよ!」
「え?」
「良かったね!あーこれで相手がいないのあたしだけかぁ…彼氏欲しいなぁ、いい人いないかなぁ」
聞きたくなくて早口で言い放った。
「ちょ、ちょっと待ってよ、ゆみ!」
「ん?あーそうだ急用思い出したからやっぱり今日は抜けるわ!」
「え?抜けるって、講義どうすんの?」
「今日はどうしても行かなきゃいけないの。だからサボるわ!また後でメールするね!」
「あ、ちょっとゆみ!」
何かあけみが言いかけてたけど…
―――やっぱ今日はムリだわ…
用事なんかないけど、居た堪れなくなった私はその場から立ち去った。
―――今日はどんだけ歩けば気が済むんだか…はぁ
ついついため息ばかりが出てしまう今日この頃です。




