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ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
一章.プロローグ

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6.独立後の軌跡

「あれから3年か。早かったな。」


シルヴィアはしみじみと空を見上げている。独立してすぐに『白魔術師ヴィアのアトリエ』をオープン。魔法薬などを売るお店だ。忙しく働いているうちにあっという間に3年がたち、メーティス学園に入学していれば卒業の時期である。なぜ『薬局』にしなかったのか。それは、この世界にそういう店がなかったから。何故なら、薬だけを売る店がないのだ。なぜ『アトリエ』にしたのかというと、『薬など』を作って売る店をこの世界ではそう呼んでいたから、である。


初めは、森の中に薬草を取りに行った時に、ついでに狩った魔物の肉や毛皮をギルドで売ったり、薬もギルドに持ち込みの許可を取って手売りしたりして生計を立てていた。


すぐにヴィアの薬は品質がいいと評判になり、店まで足を運んでくれるお客が増えていった。半年後には採取に行っている暇がなくなり、商人から薬草を仕入れ始めた。しかし、品質が安定せず数も足りないため、ホムンクロスを造って採取に向かわせたがボロボロになって帰ってきたので、次はホムンクロスに店番を頼んでシルヴィアが採取に行った。しかし、帰ってくると店でお客さんとの大トラブルが起きていた。


途方に暮れていたところ、公爵家時代の専属侍女だったビアンカが店に様子を見にきたので、速攻口説き落として店員をしてもらうことになった。売り上げはそこそこあるので、公爵家の侍女と同等の対価は支払えている。ビアンカは店番、ホムンクロスのリヴィオが近場の安全地帯での採取と簡単な調合。新薬や難しい調合と、危険な場所への採取はシルヴィアが担当することになり、何とか店は軌道に乗り始めた。ちなみに店の名前は、平民でも違和感のない愛称のヴィアを使っている。シルヴィアだと貴族っぽいらしい。


「本当にあっという間でしたね。幼い頃、ヴィア様が公爵家から出ていくと言った時には何の冗談かと思いましたけど。あっという間に実現させて、こんなに立派なアトリエを完成させたのですから。」

「そうね。今まで見守ってくれてありがとう、ビアンカ。」


感慨深げなビアンカに、シルヴィアはニコリと微笑む。


「マスター、それではまるでお別れのようです。」


リヴィオはもっともな指摘をする。彼はいつでも冷静だ。青い髪色とアイスブルーの瞳が彼の印象をさらに涼やかにしている。


「そうですよ、縁起でもないこと言わないでください。もうヴィア様のお側を離れる事はありませんから。一生面倒みてくださいね。」

「ふふ、気持ちは嬉しいけれど、一生私に付き合わせたら、旦那様に怒られるわ。」


ビアンカはすでに結婚していて、10歳の子どももいる。出産前に公爵家の侍女を退職して一度家に入っていたが、子どもの手が離れてきたタイミングでシルヴィアから声がかかり、今に至る。


「旦那もヴィア様の事大好きだから大丈夫ですよ。ちなみにリリィももちろんヴィア様の事大好きです。」


ビアンカの旦那カルロは現在も公爵家で働くシェフであり、2人は職場結婚である。カルロには独立の最終試験、自炊の練習でもお世話になった。リリィはもちろんビアンカの娘で、世界一可愛い。ビアンカもリリィもプラチナブロンドに白い肌、色素の薄いグレーの瞳で、平民としては珍しい色彩の持ち主だ。


「ありがとう!これからもよろしくね。」


ビアンカファミリーにはお世話になりっぱなしであるが、これからもずっと一緒にいられると思うと本当に心強い。シルヴィアは満遍の笑顔でお礼を言った。


しかし、無事に独立から3年を迎え、シルヴィアは完全に油断していた。父からの軌道に乗せる約束も果たし、ゲームのシナリオもエンディングを迎えた。このまま穏やかにアトリエライフを楽しみつつ、余生を過ごせるのだと、この時はそう安心し切っていた。

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