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ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
一章.プロローグ

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4.ひとりぼっちの進路相談

次の日もシルヴィアは昨日と同じく書庫に立て篭もっていた。


「この国の歴史はなんとなく分かったけど、文中に出てくる地名が全く分からなかったな…。今日は国土の地理について勉強しよう。」


そう言って、王国の地図と地理学書、主に人文地理を中心に読み進めた。


「ああ、昨日出てきた地名はここのことだったのね。伯爵領で…ふむふむ、特産品は…。」


それから何日も書庫に通い詰め、天文学・経済学・法学・物理学・倫理学などを学び、近世あたりの時代と基本的な事はあまり変わらないことを確認した。そしてその後は、商学・農学・医学・工学・魔法学など専門分野を広く学んでいった。転生によるチート能力なのか、スポンジのように知識を吸収できる5歳児になった恩恵なのか、面白いように情報が頭に入る。しかも、現代日本の知識を持ったまま。


前世から、新しい事を学ぶのが大好きだったシルヴィアは、公爵家の書庫で誰にも邪魔されず、仕事もせず、ずっと勉強できる時間がとても楽しかった。シルヴィアにとってはまるで天国でのような環境である。しかし、ただ単純に楽しいから勉強しているわけではない。


「公爵家から独立して、1人で生活するためには何をすればいいのかしら。」


そう、それを見つけるために広く知識を増やしているのだ。メーティス学園への入学が貴族の子女の義務であるのならば、入学前に独立して貴族籍を抜けて平民になる。シルヴィアの目指すべき所が少し具体的になってきた。しかし、転生前すでに社会人だったシルヴィアは、それだけで父を納得させられるとは思っていない。


「独立後、具体的にどうやって生計を立てるかまで示さないと、あの様子じゃ説得するのは難しそうだものね。」


貴族籍を抜けた平民の女の子が、1人で生計を立てられる職業、それを見つけるために広く浅くひと通りの知識を増やしていたのだ。


「1日でも早く決めたい。」






その言葉通り、数ヶ月間で前世で言うところの小中高で学ぶくらいの勉強を終わらせた。高校卒業前に、ある程度の進路を決める。それくらいには、シルヴィアはこの世界のことを理解した。数日前に誕生日を迎えたので6歳。もちろん前世の知識があったお陰の早業である。


「やっぱり、私にはこれしかないわ。」


そう言って書庫のある一画に向かう。そして医学書、薬草大全、医薬品のレシピ集、白魔術のいろは、魔法薬学の心得など10冊ほどをピックアップして部屋に持ち帰った。正確には重過ぎて持ち上げられなかったので、ビアンカに運んでもらった。そして私室の机に座り、1冊目の表紙を捲る。


「生まれ変わったら絶対に同じ仕事はしないと思っていたのに…。」


そう言いながらも本を読み進める。


「他の何よりも医学、薬学関連の知識が一番頭に入りやすいわ。本当に、皮肉なものね。」






「ビアンカ、さっき運んでいた本。まさかシルヴィアが読んでいるのか?」


シルヴィアの私室の前で様子を伺っていた公爵。お茶を用意するため廊下に出てきたビアンカに話しかける。


「そのまさかです。シルヴィア様がお読みになられていますよ。」

「そ、そうか。」

「シルヴィア様は本気で独立をお考えのようです。公爵様も真剣に考えて頂いた方が良いかと。」


ビアンカはもう既にシルヴィアの奇行を笑う事は出来なくなっていた。彼女が本気で何かを成し遂げたいのだと感じたからだ。


「そのようだな。まだまだ赤ん坊だと思っていたのに。末っ子はいつまでも幼いと思ってしまってダメだな。」


シルヴィアは6歳のため、本当に幼いのだから公爵は間違っていない。おかしいのはシルヴィアのほうである。


「よろしくお願いします。では。」


ビアンカは頭を下げ厨房の方へと向かった。


シルヴィアはその日『ロゼフィアーレ王国での希望の職種』を見つけた。

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