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ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
五章.滅びた街、進化

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38.良いニュースと悪いニュース

次に意識を取り戻したのは、ポンテの宿のベットの上だった。昨晩はそのまま眠ってしまったらしく、外は夜が明けている。あのままアーノルドが運んでくれたのか……と思っていたら、男女2人きり禁止令のため、男性陣全員で運び込んでくれたらしい。王族と高位貴族5人で平民の女を運ぶ姿を思い浮かべて、申し訳なさと恥ずかしさで穴があったら入りたい。


そして、シルヴィアが眠っている間にすごいことが起きていた。イレーネがオズワルドに逆プロポーズをして、了承をもらったそうだ。言質とったとばかりに王都に早馬を走らせ、婚約準備に入っているそうだ。展開が早すぎる。エミリオは「やれやれ、やっとか…。」と言っていたので、シルヴィアが知らないだけで2人が思い合っていたのは周知の事実だったのかもしれない。男女2人きり禁止令の例外も、きっとイレーネとオズワルドのために設けたものだろう。数日前の疑問が早々に解決でき、『フラグ回収した』と喜んでいたところ、「甘いな…。」と数人から突っ込まれた。どういう意味だ。


気を取り直して、イレーネになぜ急に逆プロポーズに踏み切ったのか尋ねたところ、昨日の出来事でオズワルドがいない世界など考えられないと気がついたそうだ。


「このまま会えなくなったら、と思ったらとても不安で。早く気持ちを伝えていたらと後悔したわ。」


頬を赤く染めて話すイレーネ。とても可愛い。『そんな風に思える相手がいつか見つかるといいな』というような話をしたところ、アーノルド以外の全員から「甘いな…。」と2度目の突っ込みを喰らった。


「ヴィアは本当に可愛いね。」


隣で食事をしているアーノルドにそう言われてハッとする。これはアーノルドの前でしていい話ではない。一晩寝て起きたら忘れていたが、私はアーノルドに狙われているのだった。今はナイーブな時期である。


「じょ、冗談ですよ。」


シルヴィアは盛大に目を泳がせる。


「そう?まあどちらにしてももう逃してあげられないんだ。ごめんね。」


朝食に相応しい爽やかな笑顔を浮かべているが、話している内容は物騒すぎる。


「あははは…。」


シルヴィアは肯定も否定もしてはいけない事を悟り、取り敢えず『笑って誤魔化す』を発動した。




全員が朝食を食べ終え、ひと段落ついたところでエミリオがひとつ咳払いをする。


「幸せな報告の後に申し訳ないが、次に向かうダークホールの場所について説明させて欲しい。」


エミリオは全員の様子を確認した後に続きを話し始める。


「明日向かう場所は今まで浄化した場所とは質が違う。ダークホールの出現によって壊滅させられた街だ。」

「…。」


その場がしんと静まり返る。


「……アンティカ。」


その静けさを終わらせたのはシルヴィアの声だ。


「そうだ。」


エミリオは硬い表情で頷く。王国民であれば、今や誰もが知るその街の名前である。アンティカは一年ほど前、街の中心に突如黒い球体が出現し、その後すぐに魔物に占拠されて滅びた街だ。そこで最初に目撃された黒い球体、つまりダークホールが王国各地で発見され始め、その周辺で魔物の凶暴化や大量発生が確認された。そのためダークホールがその元凶であろうと推測されていた。そして、この浄化の旅でそれが正しかったことを証明している。


「被害が広がらぬよう、何度も討伐隊は送っているが、なにぶん魔物の数が多すぎて、内部まで入り込めてはいない。」

「街の中がどうなっているのかわからないということか…。」

「かなりの惨状になっている可能性もあるが、覚悟して欲しい。」


朝の和やかなムードが嘘のように、空気が重くなった。

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