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ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
四章.海を越えたダークホール、恋愛パート

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35.救命ボートのオールは…

「【土魔術 泥…】」


30分後にシルヴィアが土魔術で何かを打ち上げようとしたちょうどその時、果てしなく続く海の先に一隻のボートが現れた。


「【雷魔術 雷砲】」


シルヴィアが打ち上げようとした物を悟って、オズワルドが代わりに救援信号を上げてくれた。信じられない速さで近づいてくるボートは、よく見ると私たちが乗っていたものと同じものであった。あんな速さで動いたっけ? 誰か魔術式書き換えたのかな? なんて思っていたが、目視できる位置まで来ると、アーノルドが剣を、イレーネはロッドをオールのように使ってボートを漕いでいた。剣錆びる、ロッド腐る、やめてくれー。シルヴィアは心で泣き、顔も泣いていた。あっという間に自分たちのいる島に辿り着いたボートから、アーノルドとイレーネが飛び降り、こちらに駆け寄る。


「…ひっ。」


シルヴィアはアーノルドに思い切り抱きしめられて声にならない悲鳴が出る。


「ヴィア!無事でよかった本当に。人形のように飛んでいってしまったから、びっくりして。生きた心地がしなかったよ。」


涙声のアーノルドにギュウギュウと力いっぱい抱きしめられる。苦しい。


「あ、アーノルドざま…。いま、いのぢだえぞうでず。」


アーノルドの背中をバシバシと叩き、訴える。


「あっ、ごめんね。無事で本当に嬉しくて。」


少し離れたアーノルドの顔を見ると、やはり涙目だ。シルヴィアはその頬を両手で包んで、安心させるようににこりと微笑む。


「ご心配おかけしてすみません。助けに来てくれてありがとうございます。」


安心させようと思ってやった事なのだが、アーノルドの瞳はさらにウルウルとしてきて、頬にもほんのり赤みがさしている。…目に毒だ。どうしたものかと視線を彷徨わせていると、イレーネとオズワルドの姿が目に入る。


「オズワルドのバカ!すっごく心配したのよ!簡単に連れ去られないで!」


イレーネは完全に泣いていて、オズワルドの胸をボコボコに叩いている。そんなイレーネの頭を優しく撫でるオズワルドの姿は美しすぎて、完全にゲームのスチルそのものだ。闇夜を思わせる濃紺の髪に黄金の瞳を持つオズワルドと色素の薄い金髪と水色の瞳を持つイレーネ。2人が持つ色は対照的なのにとてもお似合いだと思う。すっかり見惚れていると、パシリと頬を掴まれた。ギギギと首を動かされて、強制的にアーノルドへと顔を向けられる。


「オズワルドばかり見ていないで、私のことも見てほしいな。それとも、この短時間でオズワルドの事好きになっちゃった?」

「アーノルド様の事はいつも見てますよ!でも、オズワルド様も悪い人じゃないなと気がついて、好きになりました!(仲間として)」


質問の意図がうまく読み取れていないシルヴィアは、元気よく返事をしたが、誰もが汲み取った言外の(仲間として)をアーノルドにただけは伝わらず、かなり大きめの地雷を踏んだ。


「ふーん。そっか。じゃあ、もう手加減するのやめるね。」

「え?」


後半部分は声が極端に小さくなったため、シルヴィアの耳には届かない。


「ううん。何でもない。さあ、日が暮れる前に帰ろう。」


いつものキラキラ笑顔に戻ったアーノルドに手を引かれ、シルヴィアはボートに乗り込む。オズワルドも泣きじゃくるイレーネをお姫様抱っこでボートに乗せるというスチル対応を再度発動した。シルヴィアはまたもやうっかりふたりの姿に見惚れてしまったのだった。

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