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ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
三章.二つ目のダークホール、回想

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20.アーノルドとシルヴィアの出会い

私がシルヴィアと出会ったのは、王都から南西の位置にそびえるラヴィア火山へ魔物討伐の任務に向かった時だ。彼女は冒険者としてギルドを通した魔物討伐の依頼でやってきたようだった。複数のパーティーが参加していて、彼女は臨時パーティーを組んでいたと思う。


「アーノルド様、やはり普段この辺りでは見かけないような討伐難易度の高い魔物がうじゃうじゃしています。」


事前の報告通り、ラヴィア火山には巨大な火鼠、サラマンドラ、キマイラやワイバーンまで群れでウロウロしていて、そこはもはや地獄であった。


「ああ、これはまずいな。冒険者たちを全滅させないよう気を配ってくれ。」

「はっ!」


私はこの時、恥ずかしながら本気でこのように思っていた。騎士団は冒険者たちよりもレベルが高いと。しかし、その考えは大幅に間違っているとこの後すぐに思い知らされる事になる。


苦戦を強いられると思った討伐は、思いの外順調に進んだ。騎士団はチームに分かれて、冒険者たちはパーティーごとに距離を取って戦闘を行っている。人間の子どもほどの大きさの火鼠やサラマンドラは個々で薙ぎ払い、キマイラやワイバーンは注意を引きつける囮役と首を確実に切り落とす仕留め役の複数人で仕留めていた。


「冒険者たちもかなり腕が立つようだね。順調に討伐できている。」

「いえ…。いや、そうなんですけ、ど…!」


魔物を切り伏せながら会話する。返り血をかなり浴びているが、気にしていられない。


「どうした?」


アーノルドは不自然に途切れた会話の続きを要求する。


「冒険者パーティーの白魔術師が補助魔術で他の冒険者たちの能力を底上げしていて、回復も同時に行っているようです。おかげで、皆恐れる事なく魔物に飛びかかっているように思います。」

「そんな事が?しかし、立ち止まっている白魔術師などいないような…。」


アーノルドは目の前の魔物にとどめを刺しながら周りを見渡す。


「あの最前線で誰よりも高く魔物の山を作っている彼女です。」

「え?」


同僚の騎士が指差す方を見ると、誰よりも俊敏に魔物を仕留める白魔術師が確かに存在する。そして手に持っているのはロッドではなくファルシオン。


「あれだけ戦いながら、パーティーの仲間に補助魔術と回復魔術かけているっていうのか?」

「違います!」

「だろう?そんな事は不可の…」

「全員です!あの白魔術師はパーティー内だけではなく、この火山で戦う全ての人に魔術をかけています。おそらく我々もその恩恵を受けているかと…。」


騎士はアーノルドの言葉を途中で遮り訂正する。


「そんなわけ…。いや、確かに体が軽い気が…。しかもさっきできた傷がもう治っている。」


先ほど腕にできていた切り傷がきれいに塞がっている事に気がつく。


「近くにいた冒険者に確認したので間違い無いかと。彼女は、冒険者ギルドではかなりの有名人らしいです。」


別の騎士が補足を入れる。そこらへんの魔物よりも恐怖の事実にアーノルド動きが一瞬鈍くなる。


「そんな事が可能なのか…。しかしこの調子なら、あと数十分ほどで討伐完了となるはずだ。」


ゴールが見えてきた気がしたが油断した訳ではない。ただ少し、ほんの少しだけ緊張の糸は緩んでいたのかもしれない。

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