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ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
二章.浄化の旅、ゲームスタート

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18.シルヴィアの魔術講座

「私の魔力の属性は土。もちろん初めは普通の、一般的な、誰でも使える土魔術を使っていました。」


とりあえず、心臓に悪い体勢からは何とか抜け出し、ノエルの部屋のソファに向かい合って座っている。そしてノエルの要望に応えるため、シルヴィアは魔術講座を開講している。


「例えば、【地割れ】【地震】【ゴーレム】なんかですね。」

「それ、土魔術の最高魔術3つだよね。誰でも使えないよね。全然普通でも一般的でもないし。え、それ何歳の時の話?いいや、やっぱり聞きたくない。どうせめちゃくちゃ幼い時の話でしょ。」


ノエルは半眼でシルヴィアを見つめる。そして、今まで見たこともないほど饒舌なノエルの姿にシルヴィは目を丸くする。しかしながら、全然話が進まない。


「話の腰を折らないでください。」

「…ごめんなさい。」


拗ねながらもきちんと謝る素直なノエル、可愛い。


「でも、土魔術って、ダメージを与えられる相手に限りがあるんですよね。例えば空飛ぶ相手や素早く動く相手には効果ないんです。当たらないですから。で、もっと効率的でいい方法があるんじゃないかと。まあ、地面とずっと向き合っていたわけです。」


シルヴィアは身振り手振りを加えながらゆっくりと丁寧に説明する。


「なるほど。」

「そしたら、地面に引っ張られる力、重力を操れるんじゃないってなって。」


ノエルはうんうんと相槌を打ちながら聞いてくれているが、自分が話すよりもやはりノエルの声を聞きたい…と言う邪な気持ちがむくむくと湧き上がる。しかし、一生懸命に聞いているノエルのためにシルヴィアは推し心を抑えつつ話を進める。


「それからいろいろ試しまして。地面に引っ張られるイメージで魔力を流したり、上から押さえつけるイメージで魔力を放出したり。そんな感じで練習を重ねたら、本当に使えるようになったんです、【重力増大】。ああ、【磁石】と【圧縮】はそれの応用みたいなもんですかね。」


ぎゅっぎゅっと手でおにぎりを作るような動作を加えながら説明した。


「…。」

「…。」

「え?終わり?」

「はい。」


いつもポーカーフェイスのノエルが驚いた表情をしている。何かおかしな所はあっただろうかとシルヴィアは首を傾げる。


「君の話を真剣に聞いていた僕がバカだった。天才の話は本当に意味が分からないのだと実体験できて良かったよ。ありがとう。」


そう言うと、ノエルはソファから立ち上がり、シルヴィアの腕を掴んで部屋から追い出す。そして「また明日。」と言って扉を閉めてしまった。ひとり廊下に立ち尽くすシルヴィア。


「何だったの、今の時間?」


この数十分は夢だったのかしら、と思いながらシルヴィアはフラフラと歩いて自室へ戻った。寝る準備を整えて布団に入ったが、推し声優さんの声で発せられるノエルの言葉が頭の中で何度もリピートされ、なかなか眠れない。正直、何も考えなくていいのならずっと聞いていたかった。何であんなに自分ばかり喋っていたのかと後悔の念まで生まれてくる始末だ。しかし、今日は良いことばかりだったなと思い返す。


「ひとつ目のダークホールを無事に【浄化】できたし、オズワルド様とノエル殿下とも会話ができた。すごく充実した1日だったわ。」


まだまだ興奮冷めあらぬ中、シルヴィアはゆっくりと瞳を閉じた。

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