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元おっさん、今は魔女。〜美醜逆転の世界でイケメンなブスを囲ってます〜  作者: 狛千代


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EP:7 ナウでヤングな町医者

そういえば、全く覚えのない小さな部屋の中にいる。

きっと町医者の部屋を借りているんだろう、あちこちに医学に関する本や、人体の中身がでかでかと載ったポスターなど、らしいグッズが山ほど転がっている。


じんわり痛む頭を抑えながら、うーんと唸っていると、アゼルが心配そうに見詰めてくる。


そこへ、扉が叩かれる音がした。

程よい高さの音で、3回。

「はい」と返事をすると、扉が開き、2人ほど入ってくる。


1人はフィスだ、俺が起きているのに気づいた途端、安堵したように表情をやわらげて、近付いてくる。

うん、ビジュがいい。


そしてもう1人は、初めましてだ。

赤と所々に白の交じった長い髪を三つ編みに結って、それを肩から流した青年が入ってきた。


これまた整ったキツネ顔のなかでも、特に目立ったのは、赤と黄の双眸。

その瞳は、メガネ越しに俺を見ている。


「いやぁ、イヴさんすんません。頭はまだ痛みますか」


そう問いかけてくる声は、とても優しい、そして何処か聞き馴染みのあるイントネーション。


「はい、大丈夫です。こちらこそ…突然来たご無礼をお許しください」


ベッドの上からだとなんかカッコつかないな、と思いつつ、俺は返事をする。

青年は、綺麗な顔を俺に近づけて、じっと見つめる素振りをすると、口を開いた。


「いやぁ、聞いてはいましたけども、変わったお人ですねぇ。俺の顔を見ても嫌悪しないとは、変わった性癖のお嬢さんやわ」


やっぱり、彼は異世界なのに関西弁で喋っている。

方言と同じような文化があるのか…?と、異世界とのとんでもない違和感に挙動不審になる。


「そ、そうですか?うーん、私からしたら世間がおかしいんですけどね…」


たどたどしく返事をしながら、アゼルとフィスの様子を見るけど、特に思うことは無いようだ。

やっぱり、この世界にも方言があるという認識で間違いない。


にしても、目の前にある色の違う瞳は、なんとも不思議だ。

オッドアイというものを直接見たのは初めてで、なんだか胸が高鳴る。


「なるほど……フィスが言った通り物好きなんやね、まぁええわ…とにかくフィスを連れてきてくれてありがとうな。俺の友達の子やねん」


「友達の…子?」


「うん、改めて…俺の名前はオスカー。オズって呼んでくれてもええよ。お嬢ちゃんの名前は」


「オズ…分かりました。私の名前はイヴです。アゼルと一緒に暮らしてて…よろしくお願いします」


自己紹介を返すと、オスカーと名乗った青年、もといオズはうんうんと頭を上下に頷いた。


4人で机を囲むように座り、早速話を始めた。



___フィオスタの父、友人のことについて。


そもそも、エリュシアは数年前まで王と王妃、どちらも不在だった。


というより突然行方不明になり、そのまま消息が掴めなくなったのだ。


こんなことになってしまったのは1人の子供が原因。


当時の王妃と王は子宝に恵まれず、時期王子を産むことに難航していた。

側室を取るという話も出たそうだが、王妃がそれを全力で拒否したらしい。


難航の末、日本で言う産婦人科に当たる医療に長けていたオズが、その王たちの子作りにアドバイスなどを行うことになった。


あらゆる方法を試し、ジンクスなんかも取り入れながら努力した結果、なんと双子に恵まれ、国はお祭り騒ぎ。


長いことみんな浮かれて、時期王子たちを心待ちにしたが、結果は最悪。


片方の子供は生まれる直前に亡くなってしまい、たった1人、男の子が産まれたが、王妃に似た結果、美形…ここでは蔑まれる対象となる、醜い姿に育った。


国民たちは一気に態度を変えて、王妃が悪魔を産んだと罵り始めた。


王妃はそれを大変気に病み、それを見かねて、庇おうとしていた王も同じく限界を迎えてしまった。

2人は悩んだ結果、産まれた男の子をオズに預け、逃げることにしたのだという。


オズは12歳になる応じ、フィオスタを預かり育てていたのだと言う。


お互い、悪魔と言われる容姿のコンプレックスを抱えながら、支え合ったのだ。


「待って、そもそもそ、王様たちはオズを頼ることに抵抗は…無かったの?」


「あぁ、顔を隠しとって活動してたのもあるし、実力はピカイチやったしな。あとは…あの人たちがそういう偏見を持ってなかったことが1番や」


「なるほど……」


そこまで一気に聞いて、フィスが実は王子様だということ、未だに両親である王たちは隠居していること、あらゆる情報量を飲み干すように、冷えた紅茶を飲み込んだ。


少しだけスッキリした頭の中で、改めてフィスを見る。


サラリと揺れる髪と、先程より顔色も良さそうだ。

アゼルも聞いた内容にびっくりしているようで、目をぱちぱちとさせている。


「じゃあ、君が…アグニスの……」


そう呟いたアゼルの、アグニスという名前に反応したのだろう、フィスは戸惑いをうかべる。


「僕は、そんなんじゃありません…生まれ変わりなんかじゃ……」


困惑とも見て取れる声色だけど、違和感を感じた。

今まで他の者にも、指を刺されて言われていたのだろう。


なんだか気の毒になって、アゼルの方に首を振ってみせると、彼も黙って顔を伏せた。


沈黙の空気の中で、最初に口を開いたのはオズ。


「それで、フィスを拾ってくれたことには感謝してるんやけど、これからどうするつもりやったん?」


どうするつもり、という未来の考えに俺は、出来るかどうかはさておき、理想の夢を語った。


「私にはアゼルと住むたった2人の島があります。そこに連れて帰って、沢山好きなことをさせようかなって。美味しいほかほかご飯と、暖かいお風呂に入れて、本が好きなら沢山の本を読ませて、それから……えーっと!」


指を折りながら理想を語っていると、オズは愉快そうに声を出して笑った。

肩を揺らして、笑い過ぎて浮かんだ涙を長く綺麗な指先ですくい、払う。


フィスは目をぱちくりして俺の顔を見る。

アゼルはやれやれと首を振っていた。


俺はなぜそんな反応を…?と首を傾げた。

もし、そういう生活ができたなら、幸せにできるならそれがいいと思ったから伝えたけど…。


夢物語だったかなぁと頭を抱える。

しかし、オズが俺の手を優しく握り、にっこりと妖艶に微笑む。


「なぁ、イヴちゃん。俺もそれ、着いてってええか?」


「………はい!?」


真っ直ぐに、楽しそうに呟くオズの言葉に、俺は思わず素っ頓狂な声を上げたのだった。

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