表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイファ ~少年と舞い降りた天使~  作者: 冴條玲
第二章 白馬の王子様
64/72

第55話 町人Sは幸福に輝いた三年間を振り返る

 それからの二年半、小学校に通っていた頃のデゼルは、どんな曇りも瑕疵(かし)もなく、誰よりも輝いて見えた。

 デゼルにとっては、みんなに愛されて、守られて、その生涯で最良の、幸せに過ごせた時代だったと思う。


 ネプチューン皇子からは、三年後、本当に皇太子ウラノスから公国を滅ぼすよう外征を命じられたら、デゼルの話を信じて決起するというお返事を頂けた。

 ユリア様も口添えしてくれたみたい。


 デゼルとジャイロと、時にはガゼル様と三人で進めた闇の十二使徒の破滅を阻止する計画も順調で、ジャイロのお父さんとデゼル、ユリシーズを除いた、九人すべてを助けてあげられたんだ。

 水神の奥義はまだ二回分残ってるから、ユリシーズもきっと、助けてあげられると思う。

 ジャイロもガゼル様もすごく頼りになって、僕、デゼルの闇主として後れをとりたくなかったから、一生懸命、頑張ったんだよ。

 そのかいあって、デゼルはもちろん、ジャイロにもガゼル様にも、僕のことも対等な仲間と認めてもらえたことが、僕にはすごく、嬉しかったんだ。


 その時のことも、いつか、話せたらいいな。


 凄惨な悲劇の後だって、デゼルは決して、ただ不幸に過ごしたわけではなかったと思う。いつだって、絶やさずにいてくれたデゼルの優しい笑顔が、すべて、つくりものだったとは思えないから。

 だけど、守ってあげられなかったデゼルはすごく儚くなってしまって、デゼルがどれほどの痛みと悲しみを抱きながら、笑顔でいてくれたのか――

 考えると僕は、どうしようもなく悲しくなって、胸が苦しくなるんだ。

 だって、デゼルに負わせてしまった癒えない傷は、僕が負うはずだったもの。

 まるで、デゼルを僕の運命の身代わりにしてしまったようで。


 僕たちが初めて会った秋の日に、デゼルが僕を助けていなければ。

 もう会えないと思った春の日に、僕がデゼルにプロポーズしていなければ。

 デゼルがここまで、つらい思いや悲しいを思いを強いられることはなかったんじゃないかって――


 だけど、ガゼル様と約束したんだ。

 デゼルの前では何があっても強くいて、デゼルを悲しませないこと。


 僕よりずっと、つらい目に遭ったデゼルが笑っていてくれるのに、僕の方が悲嘆に暮れていられない。

 ガゼル様との約束を守ろう、何があっても強くいて、デゼルを悲しませたりするもんかって、僕、心に誓ってた。


 僕は――

 僕の生涯には、いいことしかなかった。

 デゼルと出会った後には、嬉しいこと、楽しいこと、素敵なことが降り続けて、たくさんあった悲しい夜すら、僕にとっては嬉しいことをもっと嬉しく、素敵なことをもっと素敵に感じるための、聖夜でしかなかった。


 ねぇ、デゼルは僕の傍で幸せでいてくれた?


 僕の大切な人達を、僕のすべてを、最後のその時まで、デゼルは守り続けてくれたんだ。

 いつだって、僕を愛してくれた。見詰めてくれた。僕の話を聞いてくれた。


 僕の生涯は幸せだったよ。


 明日の見えなかった僕に。

 大人になんてなれないはずだった僕に。


 優しい人達と神様が、すべてを与えてくれたんだ。


 願わくは、デゼルの生涯も幸せなものであったことを――

★☆ ―――――――― ☆★

 【ご感想】羽海様より

★☆ ―――――――― ☆★


デゼルには他に道があったかもしれないけれど、サイファはデゼルに出会ったことで間違いなく最良の人生になったのだと思います。

デゼルがいなければサイファはずっと前に死んでしまっていたでしょうし、公国のために活躍することも、大切な人を守る喜びも知らなかったでしょう。


デゼルがつらい目に遭うことはサイファにとって、自分が同じくらいつらい目に遭うよりも苦しいことだっただろうと思うのですが、自分と同じくデゼルを大切に想っているガゼルの言葉のおかげでデゼルをずっと幸せにしてあげることができたというのが良いなと感じました。


デゼルと出会ったこともガゼルと出会ったことも、サイファにとっては望外の幸せですから、主神の気まぐれはサイファのためにはなったのですね…


☆ 返信 ☆


素敵なご感想、ありがとうございます✨(*´∇`*)


デゼるんに出会えていなかったら、さいふぁ様はおそらく十歳で、頑張っても十四歳になる前に、命を落としていたと思います。

身も心もぼろぼろに擦り切れて、何の救いもないまま、誰も救えないまま――

それをよく自覚しているさいふぁ様だから。

デゼるんと過ごせることになった素敵な時を、大切に、胸に抱き締めて生きてきました。


そんなさいふぁ様ですが、『僕は素敵な獅子座の闇主、誰よりも強い百獣の王ガオーだから、つらいことは代わってあげたい』というその思い――

あんまり、デゼルがつらいと僕も苦しいからってわけではなさそうです(ぇ)

(・∀・)

デゼルがつらい時に助けてあげられない闇主なんて素敵じゃない、僕は素敵な闇主!(`・ω・´)キリッ

ガゼル様に誓った、素敵な闇主に僕はなる!!(`・ω・´)キリリッ


――少年は大志を抱いた模様です✨


これは超裏設定なのですが。

そこらへんに落ちていた公民(さいふぁ様)がデゼるんとガゼル公子の間に割り込むなんて、主神さえ、思いもよりませんでした。

神々の遊戯の始まりに、『創神神サイの神』がその顛末を予見し。

邪神に操られた光の聖女との決戦を突破できず、悲惨なことになる予定だったデゼるんとガゼル公子、さらにはこの世界そのものを救わんと、すべての子供達のために、庶民パーツで構成した末の神『さいふぁ様』を遣わしたのです。


主神の予定通りガゼル公子が闇主になっていたら、デゼル編の第85話で光の聖女に殺されてしまって、たまらずデゼルがクロノスで時間を巻き戻してゲームオーバー、さらに、光の聖女からガゼルとエトランジュを守るため、『星空のロマンス』を強制終了させるためにデゼルが命を絶ってしまって、この時点で月齢の首飾りを手に入れていなかった悪の帝王ネプチューンが死去。

それを知った京奈ちゃんの発狂と暴走により、世界が滅ぶ――

という、誰も救われない悲劇が待っていたのです。

これじゃ、あんまりだからと。

さいふぁ様が神だってことは、主神もルシ様もさいふぁ様自身も知らないままに。


なんということでしょう。

デゼるんはもちろん世界そのものが、デゼるんとさいふぁ様の出会いによって、滅亡から救われていたなんて…!(; ・`д・´)9

いったい、はむすたー少年のどこにこれほどの力が隠されていたのでしょうか…!?

せっかく、羽海様が感動的な美談と受け取ったご感想を下さったのに、

いったい、この作者は何を考えて台なしなお返事をするのでしょうか…!?


たとえば、サイファ編そのものが、デゼル編のクライマックスを台なしにする物語だからかもしれません。


ユリシーズ「――だから?

 いったい、作者はなんのためにこの物語を書いてるのよ!?(# ゜Д゜)」


一粒で何度も美味しい、

涙と笑いとときめきと、感動と神秘の恋愛ファンタジーをあなたに✨(*´∇`*)



★☆ ―――――――― ☆★

 【ご感想】しき様より

★☆ ―――――――― ☆★


第5話 家庭教師のお仕事

https://www.alphapolis.co.jp/novel/153000069/781509349/episode/4503473


やはり読み書きや計算は前世の記憶が役に立ちますね!

サイファ様の借金事情が詳しく分かりましたが、胸が痛みます……トイチはやば過ぎです……


サイファ様!!! お料理やお洗濯が得意なのはとても素敵な事ですよ!!!

あとジャイロさんが家庭科得意なのはちょっと意外でした……! 日曜大工や工作とか得意なのかなぁ……


サイファ様がデゼルさんと一緒にいる事で前向きになれて本当に良かったです!!


☆ 返信 ☆


素敵なご感想、ありがとうございます!(∩´∀`)∩


さいふぁ様なりに、お母さんとした金利の計算がホントに違うのか、僕と母さんは騙されているだけなんじゃないかって、珍しく他人様(高利貸し)を疑っていたので、何も知らないデゼるんの結論はショックでした。

間違っていたのは僕と母さんで、高利貸しじゃないんだ、他人様を疑うものじゃないんだって、ますます、お人好しに磨きがかかってしまいました…!


はむ「この世の中には善い人しかいないんだよ! 誰かが悪い人に思える時は、僕が何か勘違いしてるんだ…!(`・д・)9 高利貸しだって、母さんの薬が買えなくて困ってた僕に、他の誰も貸してくれなかったお金を貸してくれた親切な人なんだから。母さんの命の恩人なんだよ!o(>д<)o」


家庭科が得意な男の子、素敵ですよね✨(*´∇`*)

さいふぁ様の場合は特に、家庭科が得意な理由がお母さんへの思いやりときていますから、なおさら…!

ちなみに、女の子の生活科はおおむね家庭科ですが、男の子の生活科は狩猟・採集・大工仕事がメインです。

お察しの通りジャイロは大工仕事と、さらに狩猟も採集も、男の子の生活科はすべて得意なので、国語と算数でジャイロより成績のよいさいふぁ様を抜いて総合成績ではクラスのトップです。

さいふぁ様の生活力もジャイロにそうそう負けないのですが、やはり大工仕事になると工具の差が…。

さいふぁ様、工具が壊れていてできないこと、近所の人に頭を下げてお古を譲ってもらったお母さんに悪くて先生に言えなくて、親切な子が終わるのを待って、工具を借りて進めたりで、どうしても遅れがちに…(ノωT)


さいふぁ様はとってもシンプルなので、可愛い女の子になつかれたら元気いっぱいです!

僕って素敵だよねって、たちまち人生が輝いて見えるらしいです✨(笑)



★☆ ―――――――― ☆★

 【ご感想】羽海様より

★☆ ―――――――― ☆★


第14話 神様のお告げ

https://www.alphapolis.co.jp/novel/153000069/781509349/episode/4621408


デゼルは自分の考えがまとまるまではサイファたちにその話をしないので、サイファたちからしてみれば、デゼルはなんの変わりもなく毎日を過ごしているか、せいぜいお告げを聞いているくらいにしか見えないのですよね。

サイファにとっては、デゼルが行動を始めると、すごく急なことに感じられるのだろうなと思います。


☆ 返信 ☆


デゼるんは隠し事をしないので、さいふぁ様に聞かれれば、割と何でも答えてくれるのですが、さいふぁ様が聞かないです。

ガゼル公子は神童なので例外として、小学生くらいの男の子って、なかなか、人の話なんて聞かなくて、土壇場になってから、どころか、困ってから、ようやく、これどうしたらいいのって、きょろきょろ、それでもまだ聞かずに、うまくできてる感じの子を見つけて、真似しようとするんですよね。

はむなさいふぁ様はその傾向が極めて顕著で、一晩もあればデゼるんの考えはまとまるんだけど、特に聞こうとはしません。

昨日のお告げ、なんだったの? って、別に聞かない『はむスルー』。

じゃいなんて、男はこぶしで語るもんだ、女の話なんて聞いてられっかとばかり、さいふぁ様より、もっと聞かないし(ノ∀T)


そんな調子なので、「僕、忘れてた」「そうだったね」って。

さいふぁ様やじゃいにとって、

行き当たりばったりは平常運転らしいです(=∀=)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ