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サイファ ~少年と舞い降りた天使~  作者: 冴條玲
第二章 白馬の王子様
32/72

第29話 公子様は悪役令嬢を諦めていなかった

 七月も終わりに近づいた、その翌日。


 公邸にも、クライス邸にあったものと同じ、時の神様の力を宿したオブジェがあって、時の精霊と契約できるんだって。

 その契約のためと、出国手続きのために、僕はデゼルと一緒に初めて公邸に足を踏み入れたんだ。

 オプスキュリテ公国の公邸は、そんなに大きくはないけど、とっても綺麗な白亜の宮殿で、神様が住む場所みたいだった。

 おかしいね。

 すっかり、住み慣れてしまった闇神殿こそは、神様が住む場所なんだけど。


 デゼルが不思議なオブジェに手をかざして、時の精霊との契約を終えた時だった。


「ごきげんよう、デゼル」


 凛とした、透明感のある綺麗な声。

 振り向いて、僕、びっくりして控えるのも忘れちゃった。

 だって。

 すごく綺麗な人。

 窓から差し込む陽の光を弾いてきらめくプラチナ・ブロンド。

 デゼルにも遜色しない、僕と同い年くらいの美貌の少年が、そこに立っていたんだ。

 白地に金糸の刺繍(ししゅう)が入った礼装がすごく似合っていて、僕、瞬きも忘れて見惚(みと)れてた。


「ごきげんよう、公子様」


 え、うそ。

 デゼルの挨拶で、この人がオプスキュリテ公国の公子様なんだって、僕は初めて知ったんだけど。

 デゼル、素敵って言ってたけど、本当に素敵だよ!?

 わ、デゼルがすごく張り詰めてる。すごく緊張してるみたいだ。


「そちらがサイファ?」

「はい」


 デゼルの笑顔がぎこちない。

 デゼル、倒れそう。

 ええと、大丈夫だよって、ぎゅってしてる場合じゃないよね?

 僕、控えないと――


「はじめまして、サイファ」


 えぇ!

 これ、『直答を許す』!?

 えっ。えっ。

 僕まだ、公子様に取るべき礼儀作法がわからない。

 どうしよう。

 えぇと、あっ!

 そうだ、校長先生。

 校長先生にするみたいにお辞儀したらいい?


「デゼル、いきなり婚約を申し入れたりして、ごめんね。だけど、確かめておきたいことがあるんだ。もしかして、政略結婚だと思った?」

「えっ……?」

「あのね、私は君に純粋に心を惹かれているんだ。だから、たとえ、君が水神の加護を失うとしても、君を私の妃に迎えたいんだよ?」


 僕、どきんとして、心臓がどくどく打ち始めた。

 公子様、僕に声をかけたんじゃなかった。

 デゼルと婚約してるって――

 公子様は、本気なんだ。


「サイファ、私は納得していないんだ。君とデゼルを、公家の権力で無理やり引き離そうとは思わない。だけど、君の覚悟は問いたい。君は、闇巫女に触れることの意味を知っていて触れたのか? 生涯、闇主としてデゼルを守り抜く覚悟をもって?」

「あの、公子様……! サイファには、私が、あの、……私が、闇主にしてしまいました……」


 えっ。えっ。

 やっぱり、僕!?

 僕が直答するところ!?

 納得するわけないよ、僕もびっくりだもの。

 デゼル、公子様の何が気に入らなくて僕がいいんだろう。

 公子様、(まぶ)しいくらいに素敵な人なのに。


 デゼルの答えに、軽く目を見張った公子様が、デゼルに優しく笑いかけて言ったんだ。


「ガゼルと呼んでもらえると嬉しいな、デゼル。呼んで?」


 わ。

 ……ああ……。

 なんだろう、この気持ち。

 なんだか、泣きたくなった。

 ジャイロもこんな気持ちだったのかな。

 勝てる気がしないんだ。

 この方に本気を出されたら、どう考えてもデゼルを取られちゃうよ。

 闇巫女様は公子様と婚約しているから駄目なのよって、母さんが言ってたの、こういうことだったんだ。


「ガゼル様」


 震える声で呼んだデゼルの横顔に、優しく微笑んだ公子様、ガゼル様っていうんだね、ガゼル様が手をかけて、顔を近づけた。


「やっ! ……あっ…」


 びっくりした。

 ガゼル様、デゼルにキスしようとしたんだ。

 そんな、びっくりしたらおかしいのかもしれないけど。

 だって、婚約者だったんだから。

 僕がデゼルとキスしてることの方がおかしいんだ。

 僕、デゼルとは身分が違うんだって、今さら、急にわかって。

 だけど、デゼルはどうしてなのか、必死な様子でガゼル様を振り払って、キスさせなかった。

 大慌てで、こけつまろびつ僕の後ろに逃げ込んできた。


「うーん、本当かな。サイファを庇っているんじゃなくて?」


 えっ?

 えぇと、どういう意味だろう。


「本当です。サイファには私から」


 あ、ファースト・キスの話だね。

 あのキスで、僕、デゼルの闇主になって、癒術(ヒール)を使えるようになったんだ。

 デゼルが僕の背中でガクガク震えていたから、僕は思い切って、直答してみた。


「僕は作法も敬語も学んでいないので、失礼があると思いますが、どうか、お許し下さい」


 僕にできることはまだ少ないけど、僕がデゼルの闇主なんだから。

 持てる限りの力で頑張って、デゼルを守るよ。


 公子様が僕を見た。

 あたかも、神々の祝福を受けたように綺麗な、透明感の高い碧の瞳。


「僕は闇巫女とか、闇主とかがどういうものか、わかっていません。だから、その覚悟があったかと問われたら、なかったと答えなくちゃいけないけど――それは、その覚悟ができないということではありません」


 きっと、僕のすべてを見透かしてしまえる瞳。

 そういう眼力の強さを感じるんだ。

 だからって、逃げないよ。

 認めてはもらえなくても、ガゼル様の視線を真っ向から受け止めることなら、僕にだってできるんだ。

 デゼルを守るためにできることはするって、心に決めてるから。

★☆ ―――――――――― ☆★

  点目のじじ様と遊ぼう!

★☆ ―――――――――― ☆★


じじ「まだがぜるんが(さいふぁ様を)警戒している」


初対面のガゼるんにとって、さいふぁ様は恋のライバルなのです。


なぜか

運命の婚約者を

なぜか

なぜか

はむによこはいりされた(


じじ「はむのせいじゃないよね(」


そうだね(


じじ「デゼるんの言ってることが正しいべな。」


うん。


じじ「でも中身がようじょじゃないって知らないと

 それは疑いもするじゃ」


するよねー。

ガゼるんはさいふぁ様の中身がはむなのもまだ知らなくて、

借金のことは知ってるし(調べた)


じじ「もうか。ぬかりない。」


デゼるんにさいふぁ様がいいと断られたのに諦めないならば調べねばと。

可愛いデゼるんを任せていいはむか。

デゼるん騙されてないか調べねばと。


じじ「外堀からちゃんと埋めていくあたり

 さすがでござる」


(`・ω・´)b

ガゼるんは自分のことより、まだ七歳のデゼるんが心配なのです。


じじ「まったくですよ。ランドセルがようじょ背負ってる時代ですよ」


ぶふっ! ランドセルがようじょ背負うの!?


じじ「でかいじゃろ七歳児のランドセル(対比)」


た、たしかに…!


じじ「これがどうしてハムかわEになったのか。」



 **――*――**



じじ「公子オーラ」


(・∀・)

公子オーラ出てましたか。


じじ「和やかな対面ではないから余計にこう

 圧が。」


おお。

さいふぁ様が感じたプレッシャー伝わってよかった。


じじ「でぜるんが怯えているのが じじはちょっとわからなかった」


このシーンのさいふぁ様は珍しく圧を感じているので、


じじ「珍しいのか・・」


エリス様を相手にしてさえ、圧を感じないさいふぁ様ですよ!


じじ「そうだったわ・・」


(・∀・)

デゼるんは小学生にさえびびるひきこもり。

ガゼるん(公子様)なんて畏れ多すぎて超びびります。


じじ「へー

 なんか 学校でけっこう傍若無人だったように見えたもんで」


小学校ではさいふぁ様が一緒だから。


じじ「(-Д- )」


さいふぁ様と手をつないでるデゼるんは怖いものなし。

頼りのさいふぁ様の方がびびってなければ。


じじ「おそるべしハム信者

 信仰心つええ」


ここはさいふぁ様がびびってるから、デゼるんもびびったままなのです。


じじ「でぜるんを守らねばの前までは

 敗北宣言しているも同然じゃもんな。」


うむ。

はむガードは突っ込みリフレクじゃからガゼるんには無効なのじゃ。


じじ「ああ ツッコミ属性がないのか」


ないのだ。ガゼるんに攻撃されたらさいふぁ様は防げない。


じじ「それは勝ち目がない」


うむ。

だが、さいふぁ様は知らなかったのだ。

実は勝ち札はさいふぁ様が握っていたことを。


じじ「天然という札を。」


そう! 天然という札を。

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