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サイファ ~少年と舞い降りた天使~  作者: 冴條玲
第一章 舞い降りた天使
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第22話 怖い夢

「抱くのとかって、どうしたらいいのかな。えぇと、こう、つかむとこうだから……」


 デゼルの両手、僕も両手でつかんだんじゃ何もできないよね。

 じゃあ、片手で――

 紐とかで縛ったらやりやすい?

 それとも、甘噛みとかしてみる?

 根本的に違うのかな。無理やりすることじゃないような。

 デゼルに求めてって言ったら、デゼル、どうするかな? 


「サイファ様、よい子は寝る時間だよ、デゼルわかんない!」


 あは、可愛い。


「そうだね、わからないけど、したいようにすればいいのかも。その時になったらできそう。デゼルが可愛いから」


 デゼルの肌、真っ白で透明で、サラサラしてすごく綺麗。

 首筋に唇を寄せたら、デゼルがびくっと震えた。

 もっと、震えないかと思って、強めに吸った後、軽く舌を這わせた。


「ん…ぁっ……」

「デゼル、こうするといい?」

「や、サイファ様っ……」


 デゼルがよがって、苦しそうに息を詰めた。

 僕を見詰める、涙で潤んだデゼルの瞳がとっても綺麗。

 胸元のやわらかな肌を口に含むと、見る間に、白かった肌が初々しく紅潮して、デゼルの息遣いが切なさと甘さを増した。

 デゼル、こうがいいんだ。

 逃げられなくて、顔を背けて瞑ったデゼルの目から、瞑ったせいであふれた涙が伝い落ちる様子なんて、何度でも見たくなるくらい、綺麗で印象的だった。

 

「ごめんね、震えてる。もう、しないから」


 時が満ちたら、きっと、契れると思った。

 だけど、今はまだ、デゼルが可哀相だから。

 ひっく、ひっくと、しゃくりあげるデゼルを(なだ)めるように優しく言って、ずっと、つかんでいた手をはなしたら、あざになってしまっていて。

 僕、強くつかみ過ぎてたんだ。

 痛かったよね、これ絶対。


「しても、いいよ……」

「だってデゼル、泣いてるよ」


 安心させてあげたいと思って、優しいキスだけ落として、デゼルの胸にそっと手を置いてみた。

 少しずつ、デゼルの呼吸がやわらかくなるのを確かめて、微笑んだ。


「また、今度にしようね」

「うん……」


 闇神殿の天蓋つきの寝台は大きくて、子供二人くらい、並んで眠っても窮屈じゃない。手をつないで、薄手の羽布団をかけて目を閉じた。


「デゼル、どうしたの?」


 そうやって眠りかけた頃に、涙の気配を感じて、確かめたらやっぱり、デゼルが泣いていたんだ。


「わかんない、怖い夢を見たの――」


 震えながら、デゼルが僕の胸にしがみついてきたから。

 泣くデゼルを(なだ)めるように、なるべく優しく、守るように腕に抱き締めると、僕はまた、目を閉じた。


 ごめんね、僕もう、眠たくって。


 デゼルが泣きやむの、確かめられなかったけど。たぶん、泣きやませてあげられたと思うんだ。

 だって、僕、ずっとデゼルの傍にいたから。

 きっと、デゼルも安心できて、心地好かったよね。

 デゼルと一緒に眠るの、僕はとっても安心できて、心地好かった。

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