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初陣はラストバトルです!  作者: あおば
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初陣はラストバトルです! ~その2~

 これまでのあらすじ


魔王討伐のために異世界召喚されたのに、僕の武器だけ『レターセット』だったよ!



 *** 初陣はラストバトルです ***


え、なにこれ、『レターセット』?

『レターセット』って言った?

しかも何だか可愛くない?

何かの特殊能力が?

あぁ、魔法は使えないんだっけ?

じゃあ、本当にただのレターセット?

裏に『三百円』って書いてあるけど、どういうこと?


ポカーンとしている僕のことは暫く放っておこうという感じで、正義が国王に尋ねる。


「魔王の城へはどのくらいかかるのでしょうか?」

「フム、それは実際に見た方が早いだろう・・・ セバスチャン!」


国王がその名を呼び、手を叩くと、広間に一人の執事が入ってきた。


「皆を案内し、屋上から魔王の城を見せてやってくれ」


国王が指示すると、すぐにセバスチャンが自分に付いてくるようにと僕たちを促した。

どうやら、王宮の屋上まで登れば見れるくらいの距離なのだろう。

すぐに終わるわけではないが、大冒険というほどでもないのだろう。


屋上に着くと、魔王の城がはっきり見えた。

いや、正確には、『それ』がそうだと説明されてようやく分かったのだが・・・。


「王宮の目の前に街道がありますでしょう?」


広い道だ。

左に行けば城下町、右に行けば林、という感じだ。


「その奥に小川が流れております」


小さいけれどきれいな川だ。

水遊びをしている子供たちの姿がある。


「川に橋が架かっているのが見えますでしょうか?」


小さいけれど立派な橋だ。

すぐ奥に日本の天守閣のような城が建っている。

異文化交流をしている貴族か領主の邸宅だろうか?


「そこに見えますのが、魔王の城でございます」


僕たちは顔を見合わせ、「どういう事?」という感じでセバスチャンを見た。

セバスチャンはにっこりと笑って続けた。


「皆様の初陣はラストバトルなのでございます」



 *** 戦闘の心得 ***


セバスチャンの言葉に一瞬呆気にとられたが、正義が疑問を口にする。


「俺たちは戦い方を知らない庶民ですが、武器の扱い方とかはどうするんですか?」

「その点はご安心ください。 王宮内の練武場で数日間の基礎訓練を受けていただきます」


「じゃあ、その後にスライムとかゴブリンとかを倒して経験値を上げていくんですね?」


卓が食いつくように質問すると、セバスチャンは首をかしげた。


「『すらいむ』と『ごぶりん』ですか? はて、そのような名前は聞いたことがありませんが」


まあ、そうかもしれない。

いくら『異世界』であっても、日本で考えられた魔物がそのまま存在するとは考えにくい。

卓もそう思ったらしく、質問を変えた。


「魔王の眷属の『魔物』です。 そういうので実戦経験を積みたいのです」

「なるほど、『魔族の者』ですか。 『魔族の者』でしたら、橋の向こう側、魔王の領土内で暮らしております」


微妙に話が噛み合っていない気がする。

よくよく聞けば、いわゆる『モンスター』のようなものは存在せず、魔法が使える『魔族の者』がいるだけらしい。


「彼らとは不可侵の条約を結んではおりますが、なにせ我々が持たない力を持つ者たちです。 盗賊被害が毎年のようにあるのです。 抵抗すればどれほど悲惨な目に遭うか。 そう思うと皆、抵抗する気力すら無くなるのです」


実害があるなら、看過できる問題ではない。

だが戦う相手は魔法が使える。

普通の盾では一瞬で破壊されてしまうだろうし、そこは考えているのか?

僕は思い切って聞いてみた。


「ご存知ですか? どんなに強力な攻撃であったとしても、当たらなければどうということはないのですよ」


そう言ってセバスチャンは「ハッハッハッ」と笑った。

それ以降、僕たちはセバスチャンのことを『大佐』と呼ぶようになった。



 *** 番外編・召喚された者たち~小夜(さよ)~ ***


私は『小夜』。

中学一年生になったばかり。

可愛いものが大好きな、普通の女の子です。


苦手なものは『お化け屋敷』。

実は小学生の頃に、怖すぎて失敗しちゃったこともあり、ちょっとしたトラウマです。


国王様に召喚された時、教えられたんです。

私、魔法の素質があるみたい!

普通の人間で魔法が使える人はほとんどいないらしいから、私はとってもレアなタイプだったんだって。


『魔法少女』ってちょっと憧れてたから、「やった~!」って思ったんだけど‥‥。

なんでクラスが『ネクロマンサー』なのぉぉぉ?

いくら自分を襲わないからって、お化けはいやぁぁぁぁ!


魔王との戦いはどうなったかって?

私はまるで相手にならなくて、恐くて恐くて、「誰か助けてー!」って叫んじゃった。

そうしたら、すごくたくさんの‥‥骨とか‥ゾンビとかが覆いかぶさるように助けてくれたんだけど‥‥。

そっちの方が怖くて‥‥気絶して、その‥失敗‥しちゃった‥‥。


え、「『失敗』って何のこと?」って?

‥‥‥そんなこと、言えるわけないでしょ~!

うわぁぁぁぁん、もう、お嫁にいけないよぉぉぉ!

今回の番外編は、過去に召喚被害にあった方へのインタビューという形です。

今後もいくつか残念召喚を書けたらと思います。

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