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未来のお坊さんと私  作者: ゆるり
3/6

小さな天使

はい、ただいま横に未来の夫、存在。

隣に良くん、左手にちょっと焦げた卵焼き入りの弁当。前には車がビュンビュン走っている。

歩いて徒歩5分の中学に部活に行く途中。なんか緊張する。

周りから見たら、カップルに見えるかもしれないけど、不釣り合いすぎる!

だって私は150cmのチビでそばかすありで何のとりえもないのに、彼は、170cmのイケメンのなんでもできる人。 

本当に私でいいのかな。

「優衣?」

わっ、これはやばいケース。

まっ、茉奈!

「2人で歩いて。何?付き合ってるの?」

「違うっ!たまたまあっただけだって!」

「ふ~ん。なんだ。つまんないの。」

そう言って茉奈はチラッと良を見た。

「あ、茉奈じゃん。おはよう。」

「良、おはよー」

何だろう。小さな会話なのに変な気持ちになった。

「良くんってさ、」

「なんでしょうか?」

「いや、何でもない。」

私ヤキモチ妬いてるかもしれない。

どうしよう。



「はーい。今日の朝練終了。トンボかけたら職員室来てね。」

先生がかけた言葉で皆は一斉に動き出した。

あつー。今日メニューきつかったなー。

そんな声があちこちから聞こえてきた中で

僕は何をしているかというと、高橋さんを見ています。

小さくて、可愛くて。守ってあげたいという想いでいっぱいです。

僕自身初めての恋でした。

僕は運山寺の跡継ぎなので、お嫁さんを必ずもらわなければなりません。

僕は中1の頃に、父と祖父が話していたのを聞いてしまいました。

「良は、頭の回転は速いが、人前に立つことは苦手なのだね。」

「そんな良が跡継ぎにふさわしいか最近気になってしまったのだが。」

「それに比べて良太はクラス委員長に立候補したそうだが。」

「良太は人前で何かすることが好きなのですよ。」

「良は好きな道を選ばせてやろう、今のところ、次は良太だなぁ。」

ふさわしくない。僕は家を飛び出した。

夕日が照り、赤いような、オレンジのような空。まぶしい太陽は良太。僕は自分で光ることのできない月。

僕はむいてない…!僕は誰も支えられない。人を幸せにすることもできない。

僕は友達がいない。いるけど、慕っているだけ。逆らえない。怖い。

だめだめな僕が嫌いだ。大嫌いだ!

何もかもぐちゃぐちゃになっている僕は、人目も気にせず公園で泣きました。


そんな時、ある女の子が声をかけてくれました。

「どうしたの?そんなに泣くとみんなも悲しくなっちゃうよ。泣かないで。」

それは中1の高橋優衣さんだったのです。

「苦しいこと、今全部吐き出しちゃおう。」

僕は息つく間もなく心のうちを明かしました。

すると彼女はこう言いました。

「今までよく頑張ったね。えらいよ。」


たったそれだけの言葉なのに僕は救われた気がしました。

この出来事で、高橋さんを好きになりました。

今度は僕が高橋さんを助けたい。絶対に。

でももう手遅れでした。

すでに高橋さんには助けてくれる人がいたのです。




※トンボ:グラウンド整備に必要な道具。

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