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秘匿されし館への来訪者は、どれほど希少なのか

3/31 消し忘れ部分の削除を行いました。

 ティーカップ、ポット、シュークリーム。

 並べられたそれをぽかーんと見つめながら、現状を考える。

「……」

 とりあえずなんか客室に案内されました。やたら高級感のある白い部屋です。

 家具もなんか質がよさそうだし、このお菓子や紅茶もおいしそう。とりあえず、もったいないから出されたものは食べる。

「本日はどのようなご用でしょうか?」

「とりあえず、神様について少し調べたいの」

 どこまで話そう?どこまで聞こう?

 必要な情報がどこまでなのかわからないと、そこに困る。

「ふむふむ、ちなみに君はなぜ一緒にきたのですかな?」

「一応読み上げたのは俺だし、ここ女子禁制らしいからエスコートする人が必要だろ?」

 ……あれ、そう考えると私がブレイザについてきたって感じなのか?

「ふむふむ、ならば何も問題はないでしょう。歓迎いたします、この教会直属禁忌図書館へ」

 え、禁忌?何かやばそう?

「何だ、いいのか」

「あの暗号を解いたものを招くしたきりですし。それと、彼女は…ああ、お名前をお伺いしてもよろしいですかな?」

 あー、解いたのブレイザだ。じゃあついてきたのは私だね。

「シャリアです」

「あ、俺はブレイザです」

「ふむふむ、覚えましたぞ。シャリア様はこちらで子細を把握でき次第、お招きする予定でしたので」

 招……く?

「この町の人間の大半からは、とある御業を隠しております」

 とんでもなく嫌な予感するなぁ…。

「貴女様はこのことを知ることができる数少ない聖人です」

 聖人は都合の悪い記憶は消されるみたいだから、それはつまり相当に罪深いことなのかな。

「……よろしいですね?」

「俺は問題ない」

 ブレイザは即答した。はやいなぁ…。

 一応、不安はあるけど。

「問題ないけど…」

「けど?」

「食べるから重い話いったんやめない?」

「「………っ」」

 笑われた。そりゃそうか。

「そうだな、俺も食べるー」

「ええ、是非ともお召し上がりください」

 うん、とてもおいしいね。

 平和そうに食べているようにしか見えないだろう。事実そうだし。

 わざわざ平和といったのは、 先ほどの魔法が一応残っていたからだ。外が慌ただしくなっている。

「…そもそも、明日とかの方がいい?」

「うむ…そうだな、申し訳ない」

 まぁ、やばそうだったしね。

「しかし、客人がいるというのに」

「すまんな、来客なんてそう来なかったからマニュアル通してないのが大半なんだわ」

 あ、髪のない人。

「まぁいいや。館長、後はお願いします」

「そうだな」

 ……そんなに、お客さんいなかったんだ。

「禁忌ってのは、それだけやばいんだよ。結構広いが、ここほとんど5人で管理してるんだ」

「少なすぎない!?」

 普通の図書館くらいだよ…?しかも五階建てだよ…?

「帰る前に、少しだけ書庫をのぞいてみるか?」

「せっかくだから見たいな」

「私もー。お願いします」

 ブレイザが言ったのでお願いしてみる。

「では案内しよう、こちらだ」

 やたら広い通路に出て、少し歩くと、そこには同じくやたら大きな扉が。

「よいしょと」

 大きい割にはなめらかに開いた。

 踏み入れると、そこにはとても大きな本棚で埋め尽くされた空間があった。

 一部の区画は吹き飛んでいるみたい。

「なんだこりゃ」

「まぁ…この辺は適当に見ていってもかまわんが、そこらで修復してる奴あたりに頼めばいいだろうよ」

 遠くを頑張ってみると、確かにいた。

 七色の髪の、背の低い女の人。

「あいつはオーカ。異国の出らしいが、神の素質があったので中に引き込んだ」

 イコク…?

「……壁の、外か」

「そうだ。少年も知っていたのか」

「ああ、一応な…デーダベース代わりだったし」

 壁の外…そこにも人はいるんだものね。お兄ちゃんの知識を思い出せば理解できるけど、なんか感覚ではよくわからない。

 あと、混ざっているお兄ちゃんの記憶を思い出そうとすると、体に違和感を感じる。とくにお腹のほうとお胸。

 男女差ってそんなに大きいのかなぁ…?

 後でブレイザの体でも見……落ち着け、それはただの変態だろうが。

「む……なんか懐かしい気分」

 言われそうなことをそのままの口調で自然に出てきた。だからそう感じたんだろうなぁ。

「帰る?」

「あ…ああ」

 見入っていたらしい。

 目がすごいキラキラしてたものね。

「風よ、子虫に魅せる器となれ」

 急に、何かを作る声だけがなぜかはっきり聞こえた。

 誰だろう、と疑問に思いつつ、帰ることにした。


 おまけ。

 チューンが何故いたのか。


 その日の夜。

「チューン、そっちはなんで今日あんなところにいたんだ?」

「うん?なんでって言われてもな…」

 男三人…じゃない、けど今はそうみたいなものかも。で、えっと…話し込んでいた。

「というか男物の服を着たシャリアだったんだ、びっくりだよ」

「まぁ、そうでもしないと入れなかったからな」

「なんか動きやすいような動きにくいような服だよね、これ」

 男物の服に今も慣れなかった。まぁ、そんなに着る機会ない、かなぁ…?

「話がずれてんぞ…」

「あ……ごめん」

「で、理由だっけ?忘れ物だよ、あの辺で商売してる人のだったからさ、今日もたくさん作ってたよ、明日はブレイザの番だけど…」

 あ、じゃあ私一人で行くの?

「…チューンは」

「ごめん無理、予定あるんだ」

 あらまー。

「じゃあ明日は一人かぁ」

「「行くの!?」」

 え?そういうつもりでいたけど……。なんかおかしいかなぁ?

「明日はやめとけ?な?」

「う、うん…そうする」

 大人しくしておこう。

 余談だけど、このあとリブのお世話で私は眠れませんでした。

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