表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/182

k 殺霊 そして…?

2/2

「ねぇ、なんか殺霊だけ名づけ方違うくない?」

 ふと気になってみて、あの道化に聞いた。その時道化は仮面を拭いていた。…なぜかつけたまま。まぁ通信してないのは明らかなので雑談ぐらい迷惑にはなるまい。

「名前なんて意味はありませんからねぇ。多分隠蔽工作でしょう」

「隠蔽工作…ねぇ」

 その言葉だけでは理解しきれなかった。

 なかなか有意義な会話だったことを覚えている。

「殺霊の発見のみならず、教皇と商兆の役職を立てたのまでもあの国が閉じこもって以降のことです」

「仮にもだいとーりゃうのような立場の教皇がそれって…どうなのかね?」

 ふむ、察しはついた。

「まぁつまりはそれ以前…っていうかあんたたちの側は全属性集めたいんだものね、区別しやすいように属性を最初につけたわけだ」

「聖人や氷華のみならず、聖女や氷子さえそうしておりました」

 やはりか。その一方で、か。

「あいつら、妨害のためにダミー混ぜて、方法と宝珠を隠蔽したのか」

「おそらくは。貴女様のおかげで前者は何の意味もなしませんでしたが」

「世辞はいいって。伝える前から察してたやつの言葉じゃないよ」

 そもそも何も隠せていない。ダミーはどちらも役職故に、人数に限りがある。それを踏まえれば分かり易すぎるくらいだ。

「しかし、問題は後者なのです」

 うん、そうなんだよね。

「なんせ方法なんて誰も把握していないし」

「ですから穏便にとは行きません。管理者を制圧し、支配し、その上で探そうということになりました」

 そのためだけに多くの人を殺した。正面から戦うなら他の(相手からの一方的な)敵対勢力も流石に放ってはおけないからだ。

「ですがそれも無理にこなさなくてもよくなった。貴女様のご協力のおかげです」

「そこは素直に受け取っておくよ」

 どっちも私が中にいるようなものだからどうにかなった、か。

「しかし、(わたくし)どもにとって運の良いことです」

「中に眷属がいたことね。あの子に加護を与えたばかりか、眷属にすらしてるとは思わなかったけど」

 まぁ無意識にしたせいか、支配やら教唆やら煽動やらは出来そうにないけど。言葉も届かないし。

「しかも欲しい情報はいくつも手に入りました。貴女様の心情は複雑そうですがね」

「…よりにもよって前世で私を殺しに来たやつが、今世では私の子分だよ。そりゃあね」

 そう、それは他の神から、眷属(コーキ)を通じての直接攻撃を食らう少し前の話だった。



「まずね、シャリアちゃんは聖女になった」

 …………え?

 あ、今は作戦開始前で、とりあえず髪を結んでもらっていますぜ。

「となるとね、少し魂が変質しているわけですよ。普通なら彼女のクラウスに戻れない」

[はぁ!?」

 異常な雰囲気のする発言。それでも手があるだろうことがなおさら恐ろしい。ってかそれにすぐ思い至るのになぜ焦っちゃったんだろうか。

 どこからか取り出したシュシュで髪を留められる。

[それで、どうしろと?」

「さっきから冗談でなれって言ってみてたじゃん?マジでなって」

(………えーっ?)

「やっと読心術効いたよ…!でも意味ないよ…!」

[は?何してんの?」

 なんかよくわからないことを試みていた様子。

「魔法で読心術をね。君が爆弾作ってる間に考えて今試してみたんだけど、読めないこと読めないこと」

 うっわぁ…。

 とりあえず不安そうな表情をしながら黒の絵の具と間違えて取り出したイカとタコを〆るのはリアクションに困る顔をせずにいられない。

 あー、いいや。

[つまり、殺霊になれ、と」

「その通り、頑張れ」

 ぶん殴っていい?っと、いかんいかん。

 それに対して何で?と思う自分もいるが、今の俺はそれが主ではないらしい。案外まともではないか?

「歪んでるなぁ。もうこの爆弾送るよ、そしていったん真反対へ行く」

[なぜ?」

「唯一の味方候補に手を出そうかなって」

 意外にも、味方になり得るものはいるらしい。

[それはどれだけ信頼できる?」

「味方にできるかは分からないけど敵対はしない方法は簡単」

[ふむ、その方法は何だ?」

「彼の救出対象に手を出さない、使用しない」

 手を出さないと使用しない、ってその表現は…?

[その対象に見当がつかないんだが、一体何だってんだ?」

「一柱の神様だよ。でも…名前は知らかった」

[は?」

 知らなかったって言うのはおかしいだろう普通。

「言ってはいけない。そうしたら、神の怒りは解き放たれる。その前に可能な限り、消さなきゃいけない!」

 あぁ、言えないからか。

[騒がしい、こっちから来てやったわ」

[うぉ!?誰だ!?」

 びっくりさせんな!誰だか知らないけど!

[神の名前を聞くな」

[ああ、すまん」

「素っ気ないねぇ。率直に一つ。出口隠蔽しといて」

 これが対象候補か。

 チューンと全く同じと言っていい髪色をしている。そして魔力を奇妙なほど感じる。

[よかろう、あの子にはまだ手を貸せなかった」

「あちゃー、まじ?まぁ、あれだよ、サンクス」

[そっちに言及するだけか。まぁいい、それが囮になるなら問題あるまい」

 謎の協定がすごい勢いで結ばれていく。

 しかし、情報をすりあわせれば何かわかりそうな気がするが、リスクが高いな。

「それじゃ、こいつを主の元へ返すよ」

[……ああ、そいツハ、クラウスなのか。こ、ここまで生きている(・・・・・)のは珍しいな。転生者…と言って差し支えないな」

 なんか心なしか挙動が不審だが。

 まぁ、どうでもいいだろ。

「頼むよ、兄ちゃん」

[お前の兄では決してない。…努力せよ、そして期待せよ。先導者」

「お前の見たことない景色見せてやるよ、断罪者」

 なんかの儀式のように、挨拶のような言葉を交わし去って行く。

「じゃあ、あの子の元へ…っ!?」

 ……。

 あ、そっか。反対側行ってないから、出所ばれたのかな?

「捕まえる……私は……私は……」

 黒が剥がれかけている。というか、中身に見覚えないが、これ普通に日本語。

「うわぁ…あの魂ほかにも回収されてたの…?」

[どういうことだ?」

「いや、あの時期にあの場所で死んだ魂、結構こっちの世界に回収されて転生してるのよ」

[それどうなんだ?」

 そもそも回収って言い方どうなのさ。

「普通記憶残らないもの、例外はちょうど神になっちゃったのとか、クラウスになったあなたとか、そこの奴みたいに転生前に支配されたやつか」

 もしかして、そもそも比喩的なあれではないのか?ってか転生前なのにあれ肉体ある気がするんですが。

[回収って」

「うん、神様が回収してはこっちに流してるんだよね」

 それはまた。

「もう、あれは無駄に生きながらえた奴隷以下の畜生だ。救ってやれ」

[闇よ、人の作りし深淵の中へ立ち入るものを守り抜け」

 多分、少しだけためらったから、己の身を守る魔法を先に使ったのだろう。

[悪よ、意思を貫くため牙を曲げる刃たれ」

 なぜ躊躇しなくてはならないのかわからないが。

[何で殺すのか、聞きたいか?」

「……だめなこと、当然…」

[それ、捕まえるのも同じなんだけど、わかる?」

「当然の如く殺されそうになってる私の気持ち顧みて?」

 ………そうですね。

[んなふざけた根拠じゃねぇよ、ただ必要だからってだけだ」

 目的なわけがないしね。必要なんだ、さしあたって今は、頭のいかれたカミサマから逃げるために。

「生きるのに、って?やっぱりそれ私については関係ないよね?」

 ……そうですね。ってかこいつも大概非道いような気がしないでもない。あの時も昔も爆弾投げた先のことを気にしてなかったり、今ちゃっかり別の黒いのを踏み潰したり。

[数多いな、沈めるぜ」

 抵抗はなかった。その命を遠慮なく刈る。いつも通り、当たり前のように。

[自らの目的のために殺す。殺害してまでやりたいことがあるからだ」

「復讐…?」

「それは、もう殺すのが目的になってるやつじゃないかにゃぁ…」

 お前なぁ…それっぽいこと言おうとしてるのにさぁ…。

[俺は何で殺されたくないのかわからない」

「いや…いや…」

[なぜ生きたい?」

「いやだ…痛いのや…助けて…」

 痛いのいや、か。それが本音か?それだけか?

「……はいこれ、この魔力も使いな、さすがに慈悲の心くらいあるでしょう?」

 受け取った魔力は不審極まりなかった。何か書き換えられた、属性と似て非なる変化を加えられた異様なもの。一応、扱えなくはない。これを自力で再現は無理…かなぁ?って感じ。

 一緒にもらった紙にあった文…詠唱を読み上げる。

[貴様に無き故にこそ、その業で裁かせてもらおう。貴様はすでに命無く、苦痛に喘ぎ狂うに値せず。我が前より失せよ、来世へ旅立て麗しき魂!神聖なる命に感謝を!恵みを、豊穣を、未来を!我が手で一人、今!!掬おうぞ!!」

 うーむ、少し足りないなぁ。まぁいいか、強引に自分の魔力を融和させかさ増しを試みる。

 ………。あっさり出来すぎて間に描写することがない。

[さぁ…来世を歩め!!転生の儀よ!!!」

「いや、…い、いや?」

[フューチャー・B・バース!」

 頭の狂うような技が吹き荒れる。本当に、頭にとんでもない負荷がかかっている。

[くっ……そががぁ!」

 ふと魂を感じた。……なぜ?

 でもちょうどいい。それでうまくいくのだと、教えられたような感じもしたから。

[く、おぉおおおおおあおおお!!」

 叫び散らす。

 不審すぎる。謎だ。

 …………だがしかし。頭は妙に冷えた。冴え渡っている。

 まだ、やれる!



 コーキが前世のクラスメイトとやり合ってるのを眺めながら、彼に起こった変化を解析しています。

「あれが殺霊…ねぇ」

 あっさり私の渡した物を複製していたが、その瞬間のことだった。

 結果はやっぱ感覚以外では説明が難しいな。強いて言うなら……。

 殺霊。魂に邪滅による消滅を封じた者。

 こんな所か。純粋な邪滅にして正解だったかも。……これで、あと一つなんだよね。お役御免が早まっちゃう。

 まぁ、いっか。最後まで役に立たないよりはいいよね。

「ありがとう、大志のための贄となれ……なんて重苦しい言葉では送りたくないかな」

 最後、伝えるべき言葉があるんだ。

「私のために尽くしてくれた人達に、私は最大級じゃ足りないくらいの感謝で答えなくちゃいけない。ごめんね、出来なくて。せめて、私は先の景色を見てくる!そして、あなたに教えてあげるから!」

 いつもの、……そう。いつもの言葉なんだ。これは。

「……あぁ、終わりなのね」

「うん、終わり。次あったとき、私はたくさん景色を見せてあげられるようにするよ」

 転生する魂に、一つの加護を与える。

 さぁ、いってらっしゃい。

「ふぅ…もう出よう」

[追っ手がまだ来そうだが」

「無駄さ」

 消えたのを見届けてからすぐ、転移する。

「下界への門…この先だよ、こっちが転生した先の世界」

[ほぉ…」

「さ、くぐって。その後は、私がシャリアちゃんのクラウスに戻れるように私が仕事するから」

 本当に、私にしかこれはできない。というか私に出来る形に状況を作ってもらった。

[殺霊云々は?」

[大丈夫、もうあなたは成れている」

 肉体をしまい、さぁ始めよう!

[……ありがとな」

[ええ、こちらこそ!」

 さぁ…。



 聖邪混じり合え!!!!



「助けて!助けてよ!私には無理なの!ねぇ、応えて!私の望みは、もう………!…!…!」


 私は、……っち、ここまで丁寧にとかやってらんねぇや。

 俺は、この日クラウスに戻った…なんていうのは少し間違ってる。俺はクラウスになった、っていうべきだろう。

 普通通り、意思のない道具のように振る舞う、その体の中で目覚めを待つ存在に収まった。

配管決です!

「誤字やるな!嘘つくな!ふざけんな!」

「最後ただの悪口じゃん」

これは悪口とはいわないよ。ただの罵倒だよ。

まぁ完結ってのは冗談だよ。でもなんか収まり良さそうなんだよね。

「どこがだ…?」

「……………」

 無言でキレてる!!ごめんね!?……えっとね、真面目な話次の更新がどうなるかわからないんだ。なんせ書いて即投稿。ストックなし。予定変更が一区切りついてさぁ大変。何よりさ。思ってた方がいらっしゃる(急な敬語)かもだけどさ、ここまで来るとさ。


 TS転生要素どこ…?


「あ、ほんとだな」

「あれ?」

まぁ…どうにかするってよ…。

「まぁ、あー、あれだ」

「が、がんばれー」

まぁ、えっと、これに加えて中の人の都合もあるので…洒落抜きで1,2ヵ月は覚悟してもらえると幸いです。

(追加で余談。最近vtuばーみて人の心理を学習した気になったり、Mハンの武器解説(?)動画を見ていたりしています…とりあえず、罪って何だろうねって思っただけです…失礼しました…)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ