s ブレイザの記憶(fir)
謎の存在Aと名付けたそれの正体は、ある時、心ではないかと予測を立てた。でも、すぐ私の中で否定された。心に実態は存在するはずがないから。
後に、それは魂であると結論づけたが。
ところでまもなく年が変わるんですが。
去年は何をしていたかな?覚えてないなぁ。昨日は儀式について調べ終えたからよく覚えてるんだけど。
そもそも、本題はそこじゃあないんだけどね。
「で、あー、どうだ?」
ブレイザがまたまた困惑しながら聞き直す。唐突に抱きつかれるのは慣れてくれたみたい。むぎゅー。
年末年始でみんな外に出てしまったが、何を始めるのかわからないらしい。
「大掃除と、お祈りと、あとなんか」
「あと何かってどういうことだ」
「忘れちゃったの」
「ああ、そう…」
なんか眠たくなってきた。起きてすぐなんだけどなぁ…。
「そういえば。お前どうして俺を拾ったんだ?」
「んー…さぁ?」
大した理由はなかった記憶が。
「俺の方からするとな?」
はい。うなづいて続きいってお願いする。…ん~?なんか表現おかしいなぁ。
「あの時、助けたのコーキの方だろ?」
「……そうだね、私はあれをどうすればいいのか見当もつかなかった」
「まぁ…悪意たっぷりの第三者が来りゃあな」
冤罪で絡まれてる最中におこぼれを貰おうと来た悪意マシマシの悪い人がいたのでお兄ちゃんが悪いやり方で撃退しました。
色々雲行きが怪しくなった本題の人は、ブレイザが自分で犯人ではないことを証明しました。
あれは大体そんな感じ。
「悪意なんて触れたことなかっただろ?だから対応できなかった、違った?」
「ううん、合ってる…あんなに、怖いんだね」
ゆっくりと、息を吐く。
(触れたとしてもそれを悪意だと感じなかった、ってところかもしれないけどさ)
うん?今なんか…?
「さて、お昼の前にあれ終わらせっぞ?」
「あっ」
洗濯物忘れてた。
とりあえずお昼も準備。
今日は炊き出しがあるので数が多いこと多いこと。
「なぁ…こいつらどうする?」
獣のごとく材料に群がる人が何人かいるため、私は一人で運んでいる。
「知らない。あれ使って威圧する?」
「制御できるなら助かるが…大丈夫なの?」
[問題ない。さて…落ち着きなさい!」
魔物化、らしい。ブレイザに教えてもらったが、どうやら魂がどうとか精神と肉体がどうとか。なんか聞いたことあるような、ないような。
「っ!?」
「人に迷惑をかけないであげて?」
「は、はい…」
多少は制御は聞くが、それは数秒の間だけ。
後なんだっけ、運ぶの。
[よいしょっ、と」
これ、あまり使い勝手はよくないが、制御できるからデメリットがないといえるような手段なので今は何の問題もないはず。
多分ね。
「ただいまー」
「お帰りなさい、メル姉」
帰ってきてくれた。
……じゃあ、休もうかな。
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