前哨戦 戦績
1/未定
そして、またビルにいる。
「ふぅむ…なかなかな戦績ではないか?」
「えへ?」
メルシャンは大分士気の上昇に貢献したらしいと聞いていた。
話によると、あの初手のクレーターの直後も、脳天気っぽい口調で指示を的確に回したらしい。
焦る団長に全力で心を読んで話しかけ落ち着けたり、相当頑張ったらしい。
褒め称えられて照れたような顔で困惑していた。
心なし表情が硬いのはご愛敬。
ちなみにセリーナは現在教会関連の仕事の最中です。忙しいね。
親切なおじさん?に食べ物をもらいつつ、お話を聞く時間。
(「美味しいし嬉しいけど何でこんなにくれるのかな?」)
(「わからんが大した問題ではないだろう」)
このおじさん偉い人らしいから問題ありそうな気もするけど。
「しかし…疲れたわ。休もう休もう。ささ、お茶を入れましょうか?」
「うん!お願いします」
「え、あ…」
…。
「あなたもどうです?」
「は、はい…ではいただきます」
「うん。あと緩ーくでいいよ緩ーくで」
緩い人。仕事も早々にさぼり(休み、ともいう)、お茶を飲むことにしたようだ。
(「ゆるいね」)
(「ただ筆記体を見る限りは個人的なものでも厳格な書き方を好むようで」)
(「印象が全然違うよね」)
…。
「ねぇ、この人の本って?」
「おにーちゃんが見つけて読んでた」
(「なんかあってるけど何かがおかしい」)
主語がよくわからないよね、この件って。
あれ?
(「本って言ったっけ?」)
(「覚えてないです」)
覚えてなかった。言ったっけ?
「なんとなくわかるよ」
あう。相談はどうしても隠せないなぁ…。
周りを見る限りでは、不審な要素はないのでこのままのんびりしておくけど、正直信用はできない。
今私たちは何らかの形で観察されているはず。じゃなきゃ偉い人であるこのおじさんを警備している人がいないことになっちゃうもんね。
「ささ、どうぞどうぞ」
「ありがとー!」
「あ、ありがとうございます」
メル姉が緊張するのもわかるが、そういう態度はおじさんにとっては本当にすっごくいやそうな感じ。だから明るく受け答えするように意識をしてる。
子供だから大丈夫理論。それを考えちゃうからあまり使いたくない言動です。お兄ちゃんは悪用しすぎてたと思うの。
(「なんかナチュラルにひどいこと考えてないか?」)
(「え、考えてないよ?」)
何もひどいことはないと思う。
「まぁ、今のうちにゆっくりしていてくれ」
そう言ってどっかへ行っちゃった。
「うん」
ゆっくりしている…。寝よう。このソファー寝心地良さそうだしね。
「じゃあ、おやすみです」
メル姉に膝枕してもらおうかと思ったけど、涙目で緊張し尽くしてしまう姿が想像できたのでやめておくことにした。
(「本当に寝るのか…?」)
(「うん、おやすみ」)
ゆっくりする。
(「何かを勘違いしてるんじゃないだろうな?」)
本当に寝た。
「まぁ…疲れてたとは思うけど」
メルシャンは肘掛けを使い頬杖をつく。
朧気だが確かにそれが見えた。
「もーやだやだ。何で私はこんなことに…」
(「何だかんだうちらで聖属性の才能あるのシャリアとメルシャンくらいじゃねぇか」)
「まぁ、ね…?」
ちなみにアリカは邪滅の適性があった。コーキとシャリアが教えてはみたが現状全く使いこなかったので、今のところは聖属性の適正はないよってだけの話でしかないが。
「コーキは?」
(「一応、そこそこある。…あれ、シェーラはどうなんだろう?」)
「……さぁ?まぁ、どうであっても現状変わらないよね」
(「それもそうだな」)
まだ赤子のシェーラを連れてくるなんてできるはずがなかった。
「さて…どうしよう」
(「多分そろそろ夕食だろ?それまで適当に休んどけ。多分あの人自身が迎えに来る」)
身軽すぎるだろうと思うが、そんなものなのかね。
さて。仕事だ。
修羅場だ。
生きろ。




