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◆の◆◆ 喪失系統 エンジェルバニッシュ
3分の2。
「穿つは神の裁き」
「雷鳴は天を裂き地を砕く」
「地殻は空を消し雷を奪う」
「火炎は絶望となり氷河を消し去る」
「氷結は時をも奪い去り炎熱を消す」
「混じり合え、無に帰せ」
「我こそは無に生きるもの」
「呪われし罪も、祝福の善も、価値なき灰燼も万金の財宝も、光も闇も天も地も等しく成すもの」
「総て失せろ」
「それだけが等しく成す方法だ」
「それを赦さぬなどと抜かすには―――もう遅い!」
「エンジェルバニッシュ」
そこに倒れている一人の女性に近づく男。
「…」
この男、実はまだ5才ほどなのだが、その姿は目の前の成人した女性より大きい。
「あったかいの…」
少年はためらいなく女を犯し始める。
言葉通り、ぬくもりを求めて。
それは誰かの思うより早く、誰かの支配を超えて、狂気へと堕ちていく。
それをその誰かは、満足げに眺めていたそうだ。支配を超えられても、思惑を超えられたわけではなかったために。




