餌付けの師
投稿を忘れていました…。申し訳ない。
「課題は計画的にやろう、です」
「サボらない忘れない諦めない許さない」
コーキ怖い。
無駄に貯まってしまったので今日だけで三回投げます。
ついに起こってしまったともいうのだろうか?
「すっごいカクカクな建物だね?」
メルシャンの感想を聞いて、もうついたのだと気がついた。
カクカク…コンクリ製の直方体だよね。やっぱりビルだよね。
「ふむ、実物を見るのは初めてです。本来なら一度入れたのですがね」
そもそもビルがあることを認知していたことも驚きだが、この秘匿された地区の重要そうな建物に一度だけとはいえ入れたとはどういうことだろうか。
「何かあったの?」
「見学会が中止になりまして。学年単位で不良だらけだったもので。おかげで首席で卒業できましたが」
(「あんたの基準がわからんし学校のありかもわからんのだがなぁ…」)
何の話をしているんだかいまいちわからない。社会見学みたいなものだろうか。
「そうですね…あなたの常識がけっこう通じるのではないですかね?少年」
俺のことはごまかそうとしながら説明してくれるあたり、嬉しいやらなんにゃら。
しかし常識が通じると言われても対応に困る。
「お入りください」
そして中は予想以上に異様な光景だった。
やはりビルだ。よく見るソファに皮鎧をつけた女が座っていたり、受付では現代でも見かけるスーツの受付さんが槍を持った兵士の対応をしている。ちなみに何かを断られたらしく兵士はとぼとぼ去って行った。なんだこれ、と思うほど歩く人々はファンタジスティック。
歩きながらどうやったらそんな風に焼けるのか謎な謎肉を食べ散らかしている男は、あふれ出てこぼれた肉汁を魔法で消しながら歩いていた。だからなんだよこれは。
「混沌そのものだよこれ」
あまりにめちゃくちゃな思考が多いのだろう、メルシャンが頭を押さえる。
「ふみゅうううううう!」
倒れないように全力で支えるシャリア。
「はぇー」
すごーい!とでも言いたげに目をキラッキラさせたセリーナさん。
ああ、こっちも訳がわからんな。
「如何しましょうかね」
(「それな。って聞こえねぇか」)
つい同意してしまった。どうするんだ、これ。
なんやかんやありまして。ざっと三十分後。
「悪いな…」
「いえ、どちらにしろお待たせすることになりましたし」
いろいろ起こりました。
「おいしいかい?」
「うん!」
シャリアは餌付けされた。
(「何だろうなぁ…これ」)
「うーん、トリ肉?」
鳥…そういえばこの世界の鳥肉って鶏の肉でいいのだろうか。
(「確かにおいしいんだよなぁこれ…」)
「そうなんだ…」
まずこの待ち時間だが、先客と会合中らしい。
それはいい。まだ。問題は、この餌付けしている男。
(「そんなことより、こいつの思考読めてる?」)
「ん?…あれ、あ!無理だ」
なんかすごい人っぽさそう。
「え?え?あのー、空いてないんですか?」
「あぁ、それがだね…」
謎の会話を始めた。何を話しているのだろうか。
「まぁ、そういうわけだ」
「はぁ…手の空いている人を見つけたのでお呼びします」
「頼む。さて君達、私が案内しよう。ついてきたまえ」
そう言われたのでついて行く。ところで、セリーナさんがかなり鋭い目つきになっている。何か感じるところがあるのだろうか。
「あ、そうだ。水よ、心よ、その食の心地を伝えよ…ふむ、む?わからんとはな…」
なんかしょうもなさそうな魔法そうな言葉だが、その魔法に込められた力は半端ではない。
「さてついたぞ…すまん、わからん」
「かしこまりました…」
あきれているメイドさん。何の実績がそうさせるのか…。
「改めて名乗ろう。我が名はデルウィ・トリック・オーディー」
デルウィ…ってあの本の人!?
(「うわぉ!」)
「………………」
メルシャンが非常に挙動不審になった。どこをとってもどう反応すればいいのかよくわからなかったのだろう。
そのまま出されたお茶とお菓子を食べること2分。
「ふぅ…セリーナ・アンノン。この少女たちが知ってしまった者か?」
壁の向こうについてか。
「はい。その通りです」
認めた。当然か。
「言いふらしていない保証は?」
「子供扱いなど論外。そういう存在です」
なんかめちゃくちゃ強気な言い方をしている。
(「一応だが、どうする?と聞いてくれないか?」)
「うん…どうする?」
「不要です」
(「ありがと」)
コーキの出る幕はない。そりゃあそうだろう。
「…まぁいいさ。真理を知ってゆくのはよいことだと思うか?」
「私はそう思っていなかったから逃げたのですがね…まぁ、資格があるのではとは思いますよ」
「そうか。……では改めて。明後日だ。その朝に出陣を求む」
「いつほどの期間?」
「半日で済むよ、戦力を誇示するだけだ…だから力を尽くせ、死なぬ程度にな」
あー…戦力少なそうだもんな。うちらが招かれる時点で。
「質は外と桁が違う。人数が少なくても守れるはずだが…いかんせんあまりに少ないだけに相手の心持ちに余裕がありがちでな」
心を折りにいく、と。
「……ははっ、それも理解できるのか」
どうやらシャリアはシャリアで納得したようで、それを驚かれている。
「さて…どうする?夕食でも食べて行くか?」
「ではお言葉に甘えて」
というわけで、食堂へ向かう。
「シャリアちゃん、おなか大丈夫?」
「うん!」
(「不安しかない」)
正直おなかは若干たまっている。
というか、さっき鳥肉食べて、今お菓子食べたところだし。
お腹を壊す前に止めればいいか、と楽観的に考えることにした。
余談だが、同じ頃、チューンとエリシアが二人で寝ていたそうな。それを見たアリカは
「何も起こらない……よね?」
不穏な空気に見えたようであった。
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