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おじさん辛かったね

 それは夜のことだ。俺は寝ていたがな。


「ん…?」

 ふと目が覚めてしまう。

 眠れないわけではないが、嫌なくらい目が冴えた。

(「お兄ちゃん?」)

 聞いてはみるが、返答はない。寝てるのか…。

「はぁ…」

 アリカはいなかった。

 なら、探してみるか。

 とてとて、と音がするのを聞きながら、下へと降りる。

「シャリ姉だ」

「リブちゃん?どうしたの…ってそっか、いつも夜起きてるんだっけ」

 夜行性だったかな。

「アリカちゃん知らない?」

「今?おきてるの?」

「うん、そうみたいなの」

 リブちゃんに目線を合わせると、なんか不思議な感じ。

「わかんない…あ、絵本読んでー?」

「いいよー」

 なんでそこで頼むの…?まぁ、何の問題もないけど。

「これでいい?」

「うん」

 雑草ぬきのおじさんの話。

 何か、これ好き。

「昔々、あるところに――」

 ざっくり説明すると、雑草ぬきのおじさんは光る石が毎日同じだけ湧き出る不思議な水溜まりを見つけた。

 そこのそばは草がぼうぼうで、光る石は見えなかったらしいんだよね。

 そしておじさんは光る石を持って帰り売る日と草をぬいて牛の餌に加工する日を交互に繰り返して、いつしかその光る石で大金持ちになったんだって。

 そして、ある日泥棒さんが、光る石の出所を嗅ぎつけて奪いにやってきた。そうして光る石を拾っていたら、水溜まりの中に落っこちてしまって、這い上がってこれたけどもう動けないって泣き出したんだって。その人はおじさんと働くようになったんだ。

 おじさんは、その後もその人と雑草を抜いて幸せに暮らしてたんだとさ。

 多分、めでたし、めでたし。


「ドロボーさん泣いちゃったの?」

「泣いちゃってるね、何があったんだろうね?」

「不思議だねー」

「そうだねー」

 実際のところ、その水溜まりは一体何なのかは不思議なままだね。怪物でも潜んでたんじゃないかな?

 外から走る音。リブちゃんが抱きついてきた。大丈夫だよー。

「多分…」

 アリカだね。

「はぁ…はぁ…あ、ちょい助け…」

「はい水。ゆっくり飲んでよ?」

「うん」

 ごっきゅごっきゅと豪快に飲むのを見ながら、何が起こったか適当に予想する。お兄ちゃんが寝てるから、久しぶりに予測なしの完璧な行き当たりばったりだもの。

「氷作りに来てくれてたあのおじさんが倒れたの!」

「えっ?助けにいかなきゃ!?」

 空よ、私を求める人の側へ導き給え!

「飛べた!大丈夫?」

「う……ぐっ……」

 テレポートした先には、倒れていたおじさんがいた。

「見覚えのある店…」

 それに関心を向ける余裕がない。

「治療を…癒やしを…傷を…教えて!」

 痛いのは胸、奥…心臓?動いて…その先!感覚が薄い…。

「心よ!凍れ!苦しまないために!氷よ!光よ!熱を奪わぬ清浄たる刃となれ!」

 メスを作る。一人で手術できるはずがない。でも。止まるわけにはいかない。

 助けるためには…貫かなくては。

 慎重に、正確に。ネルフちゃんの動きを思い出す。本で見た技術を思い出す。

「オペを開始する」

 どこかで知ったその言葉を吐いて、すべての意識をそこに集中させる。


 


 嫌な声がして、起きた。

 エリシアお姉ちゃんのところにでも行けばよかったのに、怖いのに外に出てしまった。リブを気にとめることなく、歩いてしまった。アリカ姉ちゃんがいるから大丈夫との予感に従いそこに入る。

「……っ!シャリア!!」

 目の前に移るのは血の中に仰向けに倒れるシャリアと、異様に目を見開いた氷作りのおじさん。

「くっそ……痛ぇ…」

「大丈夫?おじさん」

「はぁ、ふぅ。ああ、大丈夫だ」

 まだ痛そうにするおじさん。

「目が覚めたときには俺の胸が開いていて、この子は倒れていた」

 シャリアは…息はあるよね。でも、何でこんな状態に?

「あ、あ…」

「シャリア!?大丈夫!?」

「あの魔法じゃ…だめだった……」

「何がー!!?」

 本当に何が起こったのー!?


 頭痛い。目がおかしい。失敗した。何もしないより、目が、おかしかった。

 だから、やばかった。

「……ソルト?間に合った?」

「えっと、何の話?」

 何の話だっけ?やばい、分からない。

 確か…?

「血の対策を間違えて、頭が痛い」

「ち?あー、おじさんのこと?」

「そうだよ、そのこと。無事?」

「うん、無事」

 よかった。何とかなったんだ。

「何があったの?今もだけど、倒れて」

「血で赤くて何も見えなくなるから、視界に青緑色をまぜまぜしよう?sたら気持ち悪くnnて目がおkしくなっt=@ta:~:a%#」

「は?え?落ち着け?」

 頭が狂ってきた。痛すぎて、また、意識が…!

「ごめ、また無理…お休み…」

「え、ちょ?えぇ~!?」

 揺れて崩れる視界の中に、おじさんが入ってきた。ほんとに無事なんだなと感じた。

 でも、そのときそこにいなかったらしいのよね。気のせいかよ!!まぁ、ほんとに無事だからよかったけど。

 あ、お兄ちゃん曰く、ポ○ンショックとかっていわれてるやつだな、だって。

 みんなも光には気をつけてね。近くで見るとチカチカ、暗いところではザクザク襲ってくるから。


 まぁこんなとこだ。まぁ俺は寝てたがな!(大事なので二回)……ふがいないなぁ。

なんとかショックの詳細?ですが、光過敏性発作とよばれるものです。赤の光と青などの(赤に遠い色の)光が交互に出ることで起こりやすくなりますが、ニュースなどである連続フラッシュでもなる可能性も(調べてたら報告されてないが…とかあったけど)あるそうです。

今回は最悪であろう青緑の光を焚いていた設定です。理由はお医者さんが青緑の服を着ている理由と同じく、補色関係の影響を緩和するため…とか付け焼き刃でやったシャリアだった、といった後付け設定です。書いてから理論を考えた結果気絶したシャリアちゃんマジかわいそう。


今更訂正。痛いのはが遺体のはになってた。さすがに不吉過ぎるので気がついた今修正しました…。ぽんこつ。

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